投稿日: 2025/12/26

まえがき

こんにちは、バラ十字会の本庄です。年の瀬の押し迫ったこの時期、今回もお付き合いをありがとうございます。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト
バラ十字会日本本部代表 本庄 敦

あと5日で、21世紀の最初の四半期が終わります。多く皆さんが同意してくださると思うのですが、私たちが子供だった頃を思い起こしてみると、「21世紀」という言葉には明るい希望に満ちたイメージがあったように思います。

しかし今は、そう感じていない人が多いのではないでしょうか。

NHKの朝ドラ『ばけばけ』の主題歌『笑ったり転んだり』には、「日に日に世界が悪くなる」という一節が出てきます。そして、この言葉が私の実感だとお思いになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

世界の現状と物質主義

世界の今後の状況には、何にも増して地球温暖化が暗い影を落としています。それに加えて、宗教原理主義やポピュリズムの台頭、生態系の大規模な破壊が見られます。新型コロナウイルスやそれに類似する感染症が大規模に再び起こる可能性も指摘されています。

日本は、東日本大震災と原子力発電所の事故、能登半島沖地震を経験しました。今後も大規模地震が近い将来に起こる確率が高いことが予測されています。

現代は価値観が相対化してしまった時代だと言われることがあります。先進国では、工業化の結果として、多くの人が生活に困らない豊かさを手に入れましたが、何が幸せなのかということに確信が持てなくなっています。

バラ十字会の哲学の観点から見ると、このことには、物理主義が強く影響しています。物理主義とは、脳や神経系という物質の働きによって人の心が説明できるという考え方です。そう考えると、人間の魂(soul)などというものの存在は、単なる思い込みだということになります。

ちなみにこの考え方は人類の歴史のごく最近に登場したものであり、それにはほとんど根拠らしい根拠がないと当会は考えています。

砂漠と方位磁石|物質主義の不毛さのイメージ

歴史の安定期と激動期

人間の歴史を振り返ると、やや長期にわたる安定した時代と、短期間の激動の時代が交互に訪れていることがわかります。

ヨーロッパが好例ですが、今から400年前に「30年戦争」という宗教戦争が起こりました。これは、第二次世界大戦に比べたとしても、それよりはるかに凄惨な戦いでした。この戦争を機会に、世の中を支配する権力が教会から国家に変わり、科学が急速に発展し始めました。

当時の薔薇十字団が3冊の宣言書を発表して世に姿を現し、世界の危機を少しでも和らげようとしたのはその直前でした。

それ以降、ごく大雑把に言えば、世界はしばらくの間、全体として安定期にあったと言うことができます。

その後、20世紀には2回の世界大戦がありました。しかし現在、それを超えるかもしれない大変化の兆しがあらゆる所に現れています。

発達段階理論の予測する未来

その一例ですが、発達段階理論という心理学の分野があります。ヒトが生まれたときから成人になるまでにたどる心の発達の段階を研究する学問です。驚くべきことに、この段階は人間の歴史の進歩を再現するように進んでいきます。

反対にいえば、特に進歩していると考えられる人の心理を研究すると、人類の未来がある程度予測できることになります。

この理論によれば、大まかに言えば現代は、厳格な宗教家タイプの人と、あくせく働く科学者タイプの人と、平等を極端に重視する自然保護活動家タイプの人が互いに理解できず争っている時代だという見方をすることができます。

そして米国の心理学者クレア・グレイブスは、この3つの立場を統合する意識が1950年ごろに出現し、世界に広がり始めているとしています。

参考記事:『胎児と子供は、人類の歴史を繰り返す(後編)』

https://www.amorc.jp/embryo_child_anthoropogenesis_2/

光でできたトンネル|大変化のイメージ

宝瓶宮(みずがめ座)の時代

皆さんは、「宝瓶宮(みずがめ座)の時代」(the age of Aquarius)という言葉を聞いたことがおありでしょうか。神智学系の人たちや他の多くの思想家が、人類が次に迎えると想定している時代です。

この考えには地球の運動の占星術的な解釈が関係しています。地球の回転軸(地軸)は、約25,800年で一周するすりこぎのような運動をしており、そのため春分点は天球上で少しずつずれていきます。

春分点がみずがめ座に位置する約2000年間が宝瓶宮の時代であり、そのひとつ前の2000年間が双魚宮(うお座)の時代です。この2つの時代の境目がいつなのかということには諸説がありますが、おおむね21世紀の前半、つまり現在だとされています。

スイスの心理学者で精神分析学者のユングは、著書『アイオーン』(Aion: Researches into the Phenomenology of the Self)で、人類の無意識の変容がこの移行に表れているとしました。

双魚宮時代の後半は、物質主義、科学、理性が主な役割を果たす時代であるのに対して、宝瓶宮時代には、理性(科学)と直感と心の崇高さ(スピリチュアリティ)が一つの知恵(水瓶から注がれる水)として統合されると解釈しています。

参考記事:『カール・グスタフ・ユングと人間の神秘-経歴と思想と名言7選』

https://www.amorc.jp/jung/

ダークマターとダークエネルギー

現代物理学にも、大きな変化が生じているようです。物理学が進歩すると、自然界に働いている4つの力(電磁力、弱い相互作用、強い相互作用、重力)のすべてを説明する大統一理論が完成して、人類は宇宙のすべてを説明できるようになるだろうという楽観論が20世紀にはあったように思われます。

ところが、事情が変わりつつあります。天文学の用語なのですが、ダークマター、ダークエネルギーという言葉をお聞きになったことがおありでしょうか。この場合の「ダーク」とは「暗い」という意味ではなく、「正体がわからない」という意味です。

ある銀河を観測すると、その銀河の周囲の星が回転する様子から、その銀河に含まれている物質の量を推定することができます。ところがこの方法で推定された物質のうち、素粒子物理学で知られているのは1/6程度であり、約5/6の質量がダークマターと呼ばれる正体不明の物質にあたることになります。

また、宇宙は膨張していますが、もし宇宙が質量を持つ物質だけでできていれば、この膨張は重力で減速することになります。ところが観測によれば、反対に宇宙の膨張は加速しており、このことから、物質の総質量の約2倍の効果を及ぼす正体不明のエネルギーがなければなりません。存在が推測されているけれども正体不明のこのエネルギーは、ダークエネルギーと呼ばれています。

この2つのことを考え合わせると、素粒子物理学と天文学は宇宙の5%ほどしか理解できないという結論が出てきます。以上のことから、物理学と天文学は、これから大きく変化することが予想されています。

夜が明ける前

以上、現在が時代の大変革の直前にあるということを示す3つの例を挙げました。

当会はこの変革期への渾身の提言として、400年前の大先輩を見習って3冊の宣言書を公表しました。ご一読いただければ幸いに思います。

参考ページ:『バラ十字会AMORCのマニフェスト(Manifesto):宣言書のご紹介』

https://www.amorc.jp/manifesto/

マスメディアは、ネガティブなニュースを取り上げがちです。ですから、今の時代の危機について、私たちにはやや強調された悲観的な状況が伝えられています。人類の未来について絶望を感じている人も少なくありません。

しかし一方で、大きな変革期にはそれ相応の危機があるということは当然のことだとも考えられます。ゲーテは次の言葉を残しています。

「雷雨の来る前、やがて長い間一掃されてしまうほこりが最後に猛烈にまきあがる。」

シェークスピアの戯曲には次の言葉があります。

「夜が明ける前が一番暗い。」

明るい未来を見据える

話は変わりますが、先日、私の趣味であるバドミントンの、年末恒例の世界大会が開かれました。そこで見られたのは、日本の人もフランスの人も韓国の人も中国の人も、試合が終わった後、同じスポーツマンの友人として、なごやかに会話をしている姿でした。

スポーツの世界以外でも、宇宙探査でも、科学研究でも、インターネットを介して世界中の人たちが協力し合う世界がすでに実現しています。

目立つこと、報道されることはそれほど多くありませんが、無私の精神で周囲の状況を良くしようと力を尽くしている無数に多くの人が世界中にいます。

人間の意識、共通する思いは、人類の未来に大きな影響を与えます。ですから私たちは、今が変革期だということを念頭に置いて、見かけの上では現状が暗くても、人類の明るい未来を信じるべきだと思います。

最初に取り上げた『ばけばけ』の主題歌の最後の部分はこうなっています。

「落ち込まないで諦めないで、君のとなり歩くから、今夜も散歩しましょうか。」

ヘレン・ケラーは次の言葉を残しています。

「世界を動かすのは、英雄の強く大きなひと押しだけではありません。誠実に仕事をするひとりひとりの、小さなひと押しが集まることでも世界は動きます。」

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

水辺に育つ苗と大空|人類の明るい未来のイメージ

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執筆者プロフィール

本庄 敦

本庄 敦

1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学(mysticism:神秘哲学)の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら:https://www.amorc.jp/profile/

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