バラ十字会日本本部の本庄です。こんにちは。
東京板橋では、日中暑い日も多く、最近何回か、激しい夕立も降りました。まるで、梅雨を通り越して夏がすでに来ているかのようです。そちらはいかがでしょうか。
「カバラ」という言葉を、お聞きになったことがおありでしょうか。数秘術やタロットカードとの関係が深いことから、カバラとは占いの方法だと思っている方もいらっしゃいます。
実際には、古代ユダヤ教の哲学がカバラで、突き詰めていえば、バラ十字会が研究し普及に努めている神秘学と同じように、「人はいかに生きるべきか」という問いに答えようとする取り組みです。
当会のフランス代表が自身のブログで、この「カバラ」について分かりやすい記事を書いていますので、ご紹介させていただきたく思います。
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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ
記事「カバラについて」
翻訳 本庄 敦(バラ十字会AMORC日本本部代表)
エソテリシズム(esotericism)と呼ばれている分野があります。それは知性よりも直観と神秘体験を重んじる考え方であり、ごく一部の人にしか伝えられてきませんでした。
この分野のさまざまな文献を読むと、バラ十字会やフランスの哲学団体であるマルティニスト会の会員は、いつの時代もカバラに興味を抱き続けてきたことがよく分かります。
たとえば、19世紀の有名なバラ十字会員であったロバート・フラッド、スタニスラス・ド・ガイタや、マルティニスト会の会員でありその思想についての著作を何冊も残しているジェラール・アンコース(筆名パピュス)などが熱心なカバラの研究家でした。
カバラとはいったい何なのでしょう。ユダヤ教の言い伝えによれば、シナイ山でモーセが啓示を得て手に入れた知識が発展して成立したものがカバラであるとされます。
この知識は、モーセを信奉する人たちによって受け継がれて後の世に伝えられたのですが、幾世紀もの間、極秘とは言わないまでも、部外者の手に渡らないように慎重に口から耳へと伝えられました。さらに後の時代になると、この知識を元に書物が作られました。
キリスト教にはグノーシスと呼ばれる一派がありました。この派の考え方はキリスト教のエソテリシズムにあたり、先ほど述べたように、知性よりも直観と神秘体験が重んじられます。おおまかに言えば、ユダヤ教のこのような考え方がカバラにあたると言うことができます。つまり、カバラとはユダヤ教思想のエソテリシズムにあたり、それゆえにあまり研究が進んできませんでした。
ご存知かもしれませんが「カバラ」の思想は、「形成の書」(Sepher Yetzirah)、「清明の書」(Sefer ha- Bahir)、「光輝の書」(Sepher ha -Zohar)いう3つの書物に主に基づいています。これらが扱っている考え方を完全に理解するためには、ヘブライ語に精通することが必要になります。
これらの書の文章はヘブライ語でこそ最も美しい形で味わうことができますが、それだけが理由ではありません。ヘブライ語の個々の語には複数の意味があり、これらの書では、その複数の意味を用いて微妙な表現がなされているからです。
このため、カバラは4つの異なるレベルで解釈する必要があると言われています。文字通りの意味、ほのめかされている意味、象徴的な意味、隠された意味です。
カバラの知識に含まれる重要な要素のひとつに「カバラの木」があります。それは「生命の樹」と呼ばれることもあります。簡単にご説明するならば、この木は、この世界がなぜどのようにして創造されたかということについてのユダヤ教のエソテリックな考え方を凝縮して表したものにあたります。
この考え方によれば、世界の元になったのは、〈思考〉(Ain)と〈言葉〉(Ain Soph)と〈神の行為〉(Ain Soph Aur)です。そして、一連の流出(emanation)が起こり、最も精妙である「ケテル」(Kether)に始まり、最も物質的である「マルクト」(Malkuth)という10個の「セフィロト」(Sephiroth)と呼ばれるものが現れました。

そしてこのマルクトが、私たちの住んでいる太陽系や地球を含む現在の宇宙にあたります。この10個のセフィロトは別々の宇宙を表しますが、それと同時に意識の様々なレベルも表しています。
これらのセフィロトは、3つの柱の上に配置して図示されます。そしてこの3つの柱は、それぞれ別の意味を象徴しています。左の柱(Boaz)は「厳しさ」を表し、右の柱(Jachin)は「慈悲」を表し、中央の柱は3つのうちで最も大きい支柱であり、この2つのバランスを表しています。
「厳しさ」と「慈悲」という正反対の性質のこの2つの要素を人生で自由に使いこなせるようになったとき、人は誰もが叡智を手に入れるとされています。そして中央の柱は、この叡智を手に入れた状態も表しています。
神秘学の道を探究している人にとって、カバラの研究は極めて興味深い事柄です。ですから、バラ十字会とマルティニスト会で扱われているテーマにはカバラが組み入れられています。また、神秘学とは異なる分野の人たちもカバラを扱っています。
しかし、知識と叡智を身につけるための方法というカバラ本来のあり方とはあまり関係のない興味から、見当違いの応用や取り組みが行なわれている場合も、一部にあることに注意しなくてはなりません。
バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン
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いかがでしょうか。もし興味深いテーマだとお思いでしたら、関連する本や記事をお読みになってはいかがでしょうか。そこには、深い神秘学の世界が広がっています。
参考記事:「タロットカードと古代エジプトの神秘学」
それでは、また。
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