投稿日: 2016/12/02
最終更新日: 2022/11/24

 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

 

東京板橋は、昨日の雨が上がるといちだんと寒くなってきました。

インフルエンザが流行っていることが報じられていますが、お変わりはありませんでしょうか。

 

最近は、インターネットと携帯電話が進歩したおかげで、買いものや調べものや、知り合いに連絡をとるのがとても便利になりました。

反面、煩雑な作業が増えて、忙しい師走のこの時期など、大げさにいえば、すべてを投げ出したくなるほどイライラしてしまうことさえ、あるのではないでしょうか。

 

そんなときに、良いユーモアのセンスを持ち合わせている人は、右往左往している自分を客観的にみて、ああ迷路に置かれたハツカネズミみたいだなと、くすりと笑って、気持ちを立て直すのだろうなと、ふと思いました。

 

先日、バラ十字会AMORCのフランス代表が、ユーモアについてのブログ記事を書きましたので、その翻訳をご紹介させていただきます。

 

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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ

記事「ユーモアについて」

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン
Serge Toussaint

 

笑いには望ましい効果のあることが、たびたび強調されています。笑いが体や心の健康に役立つということは確かです。ほとんど笑わない人は心の病に陥りやすいとされています。

笑いは、体の活力のためにも心のためにも、どうしても必要な要素であり、多くの人が笑うことのできる機会を求めており、そのため、お笑い番組やコメディードラマの多くが成功を収めています。

 

さまざまな緊張と悲観がはびこっている今の社会では、笑いは特に重要です。しかし、すべてを笑いのネタにして良いかということは、ひんぱんに議論されている問題です。

お笑い芸人やお笑い番組の司会者の多くは、特に問題はないのではないかと答えるかもしれません。

これらの方々は人を笑わせることが仕事であり、それで生計を立てており、そのこと自体は不道徳なことでも何でもないし、人は笑いを求めているのだから、何を笑いのネタにしようとかまわないと、そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、興ざめな人であると思われてしまうかもしれませんが、私は、あらゆることを笑いのネタにして良いとは思っていません。

世の中には、からかってはならないことがあると思うからです。あるいは、笑いのネタにするとしても、その方法に細心の注意を払わなければならない事柄があると思います。

 

現在では、コメディアンの方々が人々を笑わせるために、皮肉や冷笑を用いたり、尊大さや下品さを装ったりすることが多くなりました。そしてそのような場合の多くで、対象にした特定の人を“だし”にしていますが、そのやり方は安易で、しかも適切でないように思われます。

もちろん、この種のユーモアを用いることも高く評価するかどうかも、個人個人に任されている事柄です。しかし私には、それが誰のプラスになるとも思えません。

 

おそらく私は、やや愚直すぎる人間なのでしょう。

しかし、ユーモアという名に値するユーモアは、悪意や悪口や卑猥さを含まない、より一般的に言えば、何かをおとしめる感覚を含まないものであるべきだと私は考えています。

 

そして、最も優れたユーモアは、一般的にいえば、人間の愚かさや弱さを浮き彫りにしたり、無邪気な子供のように人を楽しませたりするたぐいの、つまり、ある状況にある喜劇的な要素や、会話の機微や、人生で起こる勘違いなどに光をあてて、それを愛おしむようなユーモアだと私は考えます。

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今や、この種のユーモアは、ほとんど見られなくなってしまいました。おそらくそれらには、一朝一夕では身につかない、ある才能が必要とされるからでしょう。

 

いずれにせよ、健全なユーモアのひとつに、自分を笑いのネタにするということがあるのを忘れてはなりません。それは、うぬぼれという罠にかかるのを避けたり、過度の自尊心に対処する良い方法です。

 

残念なことに、自己中心的になりすぎるという不健全さが、現代に広くはびこっています。その主な理由は、現代社会に見られる2つの傾向だと思われます。つまり、長い間考えるばかりで行動を取らないことと、スポーツ選手やタレントのような個人が、極端な崇拝の対象になっていることです。

フランスの詩人で小説家のヴィクトル・ユーゴーは、当時の社会にすでにあったこの傾向をとらえて、戯曲『エルナニ』で、聖書の言葉をもとに次のセリフを残しています。「ある意味で奴らは、魂を売り渡したのかもしれぬ。空しい、何という空しさ、すべてが空しいのだ」。

バラ十字会AMORCフランス本部代表
セルジュ・ツーサン

 

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ヴィクトル・ユーゴー(1802-1885) Léon Bonnat [Public domain], via Wikimedia Commons

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。本稿はそのブログからの一記事。

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いかがでしたでしょうか。お読みになって、現代社会に欠けている点について、また反対に、優れたユーモアや、ユーモアの本質について考えさせられたのではないでしょうか。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

ではまた。

 

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