まえがき
バラ十字会の本庄です。当会のフランス本部代表が自身の人気のブログに、シンクロニシティについて書いていますので、今回はその翻訳をご紹介します。
※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

記事:『シンクロニシティ』について

ユングとシンクロニシティ
皆さまもおそらくご存じのことを思いますが、シンクロニシティは、カール・グスタル・ユング(1875-1961)が提唱した概念です。
ユングは当初ジークムント・フロイト(1856~1939)の弟子でしたが、人間の性質、ひいては心理学への取り組みの方法に大きな違いがあったため、フロイトと決別しました。
フロイトは、「エディプス・コンプレックス」(訳注)と「リビドー」(性本能のエネルギー)とそれらが人間の行動に及ぼす影響を重要視していました。
一方でユングには、精神性を重視する傾向があり、魂(soul:ソウル)の存在を自明のこととして受け入れていました。彼は魂を「サイキ」(訳注)と同一視し、それが意識、個人的無意識、集合的無意識という3つのレベルで表現されると考えました。「夢は自身のサイキを知るための王道である」と彼は考え、夢の活動を重要視しました。
(訳注:エディプス・コンプレックス(Oedipus complex):幼児が異性の親に愛着を持ち、同性の親に敵意を抱くことで生じる無意識の心理状態。それとは知らず実の父を殺し、生みの母と結婚する運命をたどったギリシャ神話のオイディプスにちなんでフロイトが提唱した。)
(訳注:サイキ(psyche):プシュケ、精神。個人を動かす原動力としての、意識と無意識の両方からなる心の全体。語源はギリシャ語の「呼吸」であり、ギリシャ神話では、霊魂の擬人化がチョウの羽をつけた美少女で表された。)

シンクロニシティ(共時性)とは何か?
シンクロニシティの概念を説明するためにユングは、この概念が最初に形になったときのことをたびたび語っています。
分析中の患者のひとりが、金色のコガネムシ(scarab:スカラベ)を贈りものとして受け取った夢について彼に語っていると、窓に何かがあたる音がして、ユングがそちらを見ると金色のコガネムシがすぐ近くにいたのです。
彼はすぐに、この2つのできごとに関連性を見いだしました。こうして生じたのがシンクロニシティの理論であり、ユングは後にこの理論を診療に取り入れました。多くの書籍で、シンクロニシティとは「因果関係に基づくのではなく、意味の結びつきに基づく2つのできごとの間の関係」と説明されています。
したがってそれはカルマの場合のような因果的な関係ではなく、一見すると何の関係もない2つのできごとの間に、人間の意識が構築する主観的な関係です。

シンクロニシティと偶然
ユングが考えたシンクロニシティは、偶然とは正反対のものです。
数多くの分析の結果、彼はすべての出来事には目的があり、偶然に起こることは何もないという結論に達しました。
彼はまた、宇宙、自然界、人類全体とすべての個人の間には、絶え間ない関係と相互作用が存在すると確信していました。
そのため、彼は共時的な出来事(同時に生じるできごと)に深い注意を払い、常にそこに意味を見いだそうとしました。
たとえば、ある女性が彼に語ったこのような話があります。彼女の母と祖母の死の際に、彼女たちのいた家の窓の外に鳥の群れが集まったのだそうです。
それからしばらく後のことですが、彼女の夫が医者に診察してもらうために外出をしました。診察中、鳥たちが家の周りに集まってきました。
その女性はそれが兆(きざ)しであると考え、夫の死を予見しました。彼が家に帰るとすぐに、実際にそうなりました。
ユングはそれを偶然の産物とは見なさず、シンクロニシティの一例だと考えました。

シンクロニシティと体験者
一般的に言えばシンクロニシティとは、それを体験する人にとって意味を持つ、出来事の同時発生です。
具体例として、私に深い影響を与えた同時発生を紹介させてください。
私が愛する母の葬儀から家に帰ったとき、一羽のコマドリが家の中に入ってきて、かつて母が父と一緒に私の所を訪ねてきたときによく座っていた椅子に止まりました。
母は鳥、とくにコマドリのことが大好きでした。
他の人から見れば、それは時々起こるような、ただの迷い鳥という現象でしかないことでしょう。
しかし私にとっては、墓の向こうから母が私に送ってくれたサインだったのです。
二年後、私が深く愛していた父の葬儀を終えて家に戻ると、玄関の近くにあったソーラーランプが、私が通り過ぎると点灯しました。
このランプはそれまで一度もちゃんと働いたことがなかったのです。私はこれもサインだと考えました。

宇宙の知性
これまでの説明に照らして考えると、シンクロニシティとは、それを認識しそのように解釈する人にとってだけ意味があるように思われます。
私たちが、出来事の同時発生に注意を払えば払うほど、シンクロニシティはたびたび現れるようになり、私たちを導き、励まし、慰め、守ってくれるように思われます。
それらはすべて、私たちの一人一人、人類全体、自然界、そして宇宙の間に結びつきとかかわり合いが存在することが確認できるサインです。
さらに、バラ十字哲学の観点から付け加えれば、ユングが理論化したシンクロニシティは、人間の営みにおける、宇宙の知性の表れであると考えられます。
そこから恩恵を受けるためには、生活において精神の気高さを尊重する(spiritual:スピリチュアルな)取り組みを行い、人生における同時発生を信頼することが理想的であるように思われます。
人生に起きる出来事は、通常思われているほどランダムなものではなく、そこに見られる意味や一致は注目に値します。


あとがき
再び本庄です。
私は、バラ十字会の日本本部の代表を務めていますが、それと同時に、バラ十字会が提供している教材を学んでいる生徒でもあります。
そして不思議なことですが、教本で読んだ内容と深い関連がある出来事が学習の後にすぐに起こったり、そこに書かれていたアドバイスが直接役立つような状況の渦中にいたという体験を何度もしたことがあります。
当会の学習者が集まるある会合のワークショップで、このような偶然の一致を体験したことがありますかと他の方々に尋ねたことがあります。すると、半年以上学習なさっている方のほとんど全員が、同じような偶然を体験していました。
当会の教本は人生や人間を直接扱っており、テーマはさまざまですが、いずれも何らかの形で実際の生活で役立つことを目指しているので、それは驚くべきことではないのかもしれません。
しかし今回の記事でセルジュ・トゥーサンが語っていたのと同じように、私も、人生には偶然の出来事というのはほとんどなく、何らかの目的、おそらく、私たちの(もしかしたら動物も含めて、その)精神的な成長を促すという目的に沿って進行しているのではないかと考えるようになっています。
皆さんは、どのようにお考えでしょうか。
今回も、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
体験教材を無料で進呈中!
バラ十字会の神秘学通信講座を
オンラインで1ヵ月間
体験できます
無料でお読みいただける3冊の教本には以下の内容が含まれています

第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について
執筆者プロフィール
セルジュ・トゥーサン
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。 多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。
本庄 敦
1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら↓
https://www.amorc.jp/profile/





