こんにちは。バラ十字会の本庄です。
東京板橋は、梅雨前の、過ごしやすい初夏の陽気です。
いかがお過ごしでしょうか。
私の友人で作編曲家をしている渡辺さんから、樹木についての文章が届きましたので、ご紹介します。
『古代の樹木と人間』
私は普段、エレキベースを演奏するのですが、これらの楽器の本体は木で作られています。完全に塗装されたもの以外に木目を生かしたものがあり、とても人気があります。
私の使っている楽器はトチノキをトップ材に使用しており、その木目もたいへん気に入っています。
最近、コロナ禍の影響で木材価格が高騰するウッドショックが起きました。そこで、森林資源がどうなっているのかが気になり、木について調べてみました。
■ 森林崩壊
今、日本で起こっているのは、「森林破壊」ではなく、「森林崩壊」だと言われています。
少し田舎の方の方に行けば、山には木が生い茂り、「森林崩壊」と言われてもピンときませんが、日本の多くの森林・山林では、適切な間伐や下草刈りが行われていないという現状を指しているようです。
単純に林業を生業とする人が減っているのも原因ですが、その根本原因は、材木価格の下落にあるようです。
直径30センチ、長さ4メートルの杉を育てるのには約50年がかかりますが、その価格は1本あたり3,000~4,000円だそうです。
これでは、なかなか木を育てる意欲がわかないのかもしれません。
しかし、その結果、放棄された森林・山林では適切に木が育たず、倒木なども発生し、土壌環境の悪化から土砂災害なども起きています。
■ 森林の種類
さて、森林の状態の悪化が話題になっているのは主に人工林ですが、森林の種類には大きく分けると、人工林、自然林、原生林の3つがあります。
・ 人工林
植林などによって人間の手で管理されている森林で、通常は林業用の森林
・ 自然林
人間の手が入っていても自然の力によって維持されている森林で、集落の近くにある里山など
・ 原生林
過去に伐採されたことがなく、人為的な影響のない森林で、アマゾンの熱帯雨林、カナダの森、知床半島、白神山地など
人工林は人間の手によって、伐採と植林が繰り返されて森が更新されていきますが、自然林や原生林は一度安定した森が形成されると、年数を重ねても樹種が変化しない「極相林」というものになります。
植物の生えていない裸地からこの「極相林」になるまでは、およそ200年がかかると言われています。
■ 最古の木の樹齢は?
「極相林」になるまでには約200年がかかりますが、樹木自体にはどのくらいの寿命があるのでしょうか?
低木は一般的に寿命が短く、タラノキで10年ほど、ジンチョウゲで20~30年、カキ、モモ、クリは約50年、トチノキで150~200年だそうです。
マツは長寿で500~1000年、ソメイヨシノは60~80年前後、シダレザクラは1000年以上だそうです。
◎ 8万年以上生き続ける「カロリナポプラ」の林(米国ユタ州)
このポプラの林は「パンド・クローン」とも呼ばれ、1粒の種子から芽生えたポプラが地中に根を張り、そこから次々に幹が育ったものです。
一本一本の樹齢は150~200年ですが、地中の根は8万年前から生き続けており、一つの生命体としては世界最大と言われていました(ちなみに現在では、オレゴン州にある約4平方キロメートルのマット状の菌糸層が世界最大の生命体として知られています)。
◎ 樹齢4765年の「メトシェラ」(米国カリフォルニア州)
カリフォルニア州インヨー国立森林公園内、海抜3,000メートルの場所に生えている、ブッリッスル・コーンパイン(松の一種)です。969歳まで生きたとされる旧約聖書の登場人物メトシェラにちなんで名付けられています。
◎ 樹齢4000~4500年の「イトスギ」(イラン)
イランのアバークーにある巨大なイトスギです。旧約聖書に出てくる「ノアの箱舟」には、イトスギも使われていたと言われています。
旧約聖書の『創世記』に語られている洪水に類するできごとが、もしあったとすれば、このイトスギは、その直後に生えたものかもしれません。
◎ 樹齢2700年以上「縄文杉」(日本、屋久島)
一説には樹齢7000年とも言われていましたが、合体木であることがわかり、外側の若い木が樹齢2700年と判定されましたが、芯部の古木は樹体保護のため調査はされていないようです。
かつては多くの屋久杉の巨木があったようですが、京都の方広寺大仏殿の造営のために、豊臣秀吉の命令によって伐採されてしまったそうです。
縄文時代から生きているという意味で「縄文杉」と名づけられたという説があります。
■ 人と森
樹齢1000年を超える木は、世界に50本以上あるそうですが、それ以上の樹齢の木がないということは、樹木の大量絶滅というできごとが、それ以前にあったのかもしれません。
調べてみると、ホモサピエンスの出現が約10万年前で、約8万1000年前に地球温暖化による急激な海面の上昇が起こっていたそうです。
「パンド・クローン」のようなものが大変珍しく、8万年以上前から存続している森林がないということは、今の大陸にある樹木は、海面上昇後、次第に海面が低くなっていった時期から命をつなぎ始めたのかもしれません。
森林資源を守っていくことはとても大切なことですが、一方で、森はいつでも人間の生活を飲み込む機会をうかがっているとも言えます。
里山とは、人里と山の境界線にあり、その土地の人たちの暮らしと密接に結びついている山のことです。里山が崩壊すれば、あっという間に人里は森に飲み込まれてしまいます。
ある意味で、人と森との陣取り合戦のようなものが、山の麓では繰り広げられています。
ですから、本当の意味での森林保護には、人間と森との距離を保ちつつ、必要な分だけを使わせてもらうというスタンスが大切なのかもしれません。
ふたたび本庄です。
英国のBBC放送が作った「グリーンプラネット」という番組を視聴する機会がありました。微速度撮影によって植物の動きを明らかにすることがメインテーマの全5回の素晴らしいシリーズでした。
NHKのワイルドライフのスペシャル番組として昨年に放送されていたようですが、残念ながらオンデマンドはないようです。第5回では地球の砂漠化に対抗する新しい試みが取り上げられていました。
下記は、渡辺さんの前回の記事です。
では今回は、この辺りで。 またお付き合いください。
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