投稿日: 2013/12/13
最終更新日: 2024/03/16

こんにちは、バラ十字会日本本部の本庄です。

このページの内容を要約した動画を作りました。どうぞ中央をクリックして、ご覧ください

オーストリア出身のルドルフ・シュタイナー(1861-1925)は、文芸、哲学、教育などの幅広い分野で活躍した有名な思想家です。あなたももしかしたら、彼の本をお読みになったことがおありかもしれません。

シュタイナーは多くの本を書いています。その中でも特に有名なものに『神秘学概論』と『薔薇十字会の神智学』があります。

そのため、神秘学と神智学はどのように違うのかという疑問をお持ちになる方が少なくないようです。

「神智学」という言葉は、辞書(Oxford Advanced Lerner’s Dictionary of Currnet English – 8th edition)によれば、広い意味と狭い意味の2つがあります。

1.瞑想や祈りなどの手段によって、神のことを知ろうとする宗教的な思想システム

2.(Thesophy)1875年にニューヨークで開始された宗教的なグループ、神智学協会(Theosophical Society)の信念

一方で、「神秘学」という語は、この同じ辞書によると、次を意味しています。

神や真実についての知識は、論理や感覚を通してではなく、祈りや瞑想を通して見いだされるという信念。

(いずれも、辞書の文の日本語訳は筆者)

ですから、神秘学は必ずしも宗教的ではないなどの細かい違いはありますが、広い意味での神智学と神秘学は、よく似ていることがわかります。

参考記事:「神秘学とは? 神智学との違い。歴史上有名な神秘家と古代の神秘学を紹介

一方で、この2つは語源から言うと、かなりの違いがあります。

「神智学」(theosophy)という言葉は、ギリシャ語の「神」(theos)と「知恵」(sophia)の組み合わせからできています。ですから、大雑把に言えば、「神についての知識を探究すること」を意味します。

一方で、「神秘学」(mysticism:神秘哲学)には「神秘」という言葉が含まれますが、英語で神秘を意味するミステリー(mystery)という語の由来は、ギリシャ語の「ムオ」(muo)という動詞と「テリア」(teria)だという説が有力です。

「ムオ」には、口を閉ざす(秘密にする)とか、目を閉じるといった「閉ざす」という意味があり、「テリア」は「祝祭」を意味します。

ですから「ミステリー」とは、「秘密が伝えられた祝祭」、つまりエレウシス神秘学派などの古代の神秘学派が収穫祭などで行っていた、特定の人だけが参加できる儀式(密儀)のことを元々は意味していました。

長くなりますので、今回は説明を省略させていただきますが、古代から現代まで、神秘学派では真実の探求と儀式に深い関わりがあります。

参考記事:「神秘学派とバラ十字会

『薔薇十字会の神智学』について。あなたにわかりやすくご紹介させていただこうと考え、英訳本と照らし合わせながら、じっくりと目を通しました。

ちょっと固い話になってしまうかもしれませんが、おつきあいください。

「バラ十字会では神智学(theosophy)を教えているのですか」というご質問を、ときおりいただくことがあります。そこで、このことについてまず、ご説明させていただきます。

この本はシュタイナーが、ヘレナ・P・ブラヴァツキーが創設した神智学協会という団体に所属していた1907年に、この協会の会員に向けてミュンヘンで行った連続講演をまとめたものです。

ルドルフ・シュタイナー(1900年)
ルドルフ・シュタイナー(1900年)、Public domain, via Wikimedia Commons

最初の講演でシュタイナーは、このように話を切り出しています。

「この一連の講演の題名は、『バラ十字的な方法による神智学』だとお伝えしてきました。」(The title of this course of lectures has been announced as ‘Theosophy according to the Rosicrucian Method’.)(日本語訳は筆者による)

ここでの「神智学」という言葉は、その後の本文の流れからも分かりますが、「知」(wisdom)という一般的な意味で使われています。

たとえば私の手元にある英訳書(J. Collis)では、そもそもこの本の題名が「バラ十字会員の知」(Rosicrucian Wisdom)と訳されています。

ちなみに、この3年後の1910年にシュタイナーは、神智学協会を退会して、人智学協会(Anthroposophical Society)を創設しています。

1928年に再建された第2ゲーテアヌム
1928年に再建された第2ゲーテアヌム(アントロポゾフィー(人智学)協会本部)

この本の第一章「叡智の新しい型」でシュタイナーは、バラ十字会の神秘学の「知」の全般的な特徴を説明しています。そして、この「知」を絶賛しています。

バラ十字会の日本代表という立場の私から見ても、この誉め方は、ちょっとたじろいでしまうほどの絶賛です。

かいつまんでご紹介しましょう。

1.バラ十字会の知は、頭や心だけではなく、日々の行ないの中にまで行き渡る。つまり、バラ十字会は人類の友愛だけのために作られた単なる友愛組織ではなく、人類の数々の不幸に、単に感傷的に同情するのでもなく、会員が人類全体へと奉仕する能力を鍛えるための組織である。

2.現代科学は、バラ十字会の知に対する反論となるのではなく、現代科学を正しく理解するならば、それは、バラ十字会の知の証明となる。

3.文豪のゲーテは、ライプツィヒ大学時代の終わりにひどい病気にかかり、臨死体験をした。この体験には入門儀式と類似の効果があり、その結果、ゲーテはある詩的なインスピレーションを得た。

そして、このインスピレーションは、初めは意識下のことだったが、後にそれにはっきりと気づくことができたとき、ゲーテは、世界文学の中でも最も意味深い作品のひとつである散文詩「緑の蛇と百合姫の物語」を書くことができた。

参考記事:「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテと神秘思想、主な作品の紹介、テンプル騎士団

この作品を正しく解釈すると、バラ十字会の「知」について多くを知ることができる。

第2ゲーテアヌムのオーディトリアム
第2ゲーテアヌムのオーディトリアム

4.バラ十字会の「知」を独自に発見するためには超感覚的認識が必要であるけれども、この「知」が伝えられるときには、学習者が教師を無条件に信じる必要はなく、たとえば幾何学を学ぶときのように、「知」そのものの正しさを理屈として確認することができる。

バラ十字会の知はそれほど体系的で論理的である。

シュタイナーがこのように捉えていたバラ十字会の「知」の理想を、私たちがご提供している教材が、すべて十分に満たしていると言えるでしょうか。

完璧とは言えないまでも、すでに学んでいる方々の多くは、上のシュタイナーの言葉が、当会の教材の特徴を良く表していると言ってくださることと思います。

そして私たちは、日々努力を重ねて、この理想に限りなく近づいていきたいと思っています。

「シュタイナーはバラ十字会員だったのですか」と尋ねられることがあります。この問いに答えるのは難しいことです。

古い時代のある人がバラ十字会員だったかどうかは、代表クラスの役員である場合は別ですが、ほとんどの場合、はっきりとはわかりません。

しかし、この章だけからでも、彼がバラ十字会の知について、深く具体的に理解をしていたことがわかります。

ですから、彼がバラ十字会員ではなかったとしても、当時のバラ十字会員たちと親密に接触し、多くの情報を得ていたことは確実に思われます。

区切り

シュタイナーが絶賛している、このバラ十字会の「知」を、分かりやすく理解することができる神秘学通信講座「人生を支配する」を、1ヵ月無料で体験できるプログラムをご提供中です。

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第1号

第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について

執筆者プロフィール

本庄 敦

本庄 敦

1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学(mysticism:神秘哲学)の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら:https://www.amorc.jp/profile/

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