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知を求める人たちへの公開書簡(その2)

2021年4月16日


こんにちは。バラ十字会の本庄です。

東京板橋ではこの数日、寒い日と暖かい日の差が激しくなっています。葉桜になったソメイヨシノに代わって八重桜が花吹雪を散らしています。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

当会のフランス代表が自身の人気のブログで公開した『知を求める人たちへの公開書簡』の第2回をお届けします。

前回の表題と今回の表題が、ほんの少し変わっていることにお気づきの皆さんもいらっしゃることと思います。「知識」を「知」に修正しました。

というのも、今回の部分を翻訳していて分ったのですが、彼は「知」(connaissance)という言葉を「知識」(savoirs)と「ノウハウ」(savoir-faire)の両方を含めた意味で使っているからです。

 

前回の記事はこちらで読むことができます。

記事:「知識を求める人たちへの公開書簡」(その1)

 

話のつながりの都合上、前回の文章の一部を再掲載しています。

どうぞ、お楽しみください。

▽ ▽ ▽

記事:「知を求める人たちへの公開書簡」(その2)

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン

セルジュ・トゥーサン、バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表

 

(ここから再掲載)さて、これまでご説明してきたようなことを見ていくと、正しい信念と誤った信念を区別すること、より広く言えば、真実と間違いを区別することは、誰にとっても難しい行ないだということが分ります。

私たちは完璧でもなければ、すべてを知っているわけでもないので、この区別に取り組むのはたやすいことではありません。ですから、人生のある時期に正しいと考えていたことが後に間違っていたということが少なからずあります。

私たちは誰もが、さまざまな事柄について自分の考えとその確実さを進歩させています。このことを実感するために、少し時間をとって過去を振り返り、あなたがかつて持っていた宗教的な信念や政治的な意見や、他の確信を思い起こしてみてください。

それらは時とともに変化し、その中には、わずかに変わったものも大きく変わったものもあることでしょう。中にはこのような変化が極めて激しい人もいますが、そうでなくても、すべての人の心にこのような進歩があり、それはこれからも続いていくことでしょう。(ここまで再掲載)

 

誰もが知っているように、宗教という分野では信念が本質的な役割を果しています。それは宗教が信仰に基づいているからです。信仰の一部は、知的な批判を棚上げした信念であると言われることがあります。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教など、いずれの宗教も信仰に基づいています。たとえば、ユダヤ教では旧約聖書、キリスト教では新約聖書、イスラム教ではコーラン、仏教では三蔵など、そのそれぞれの聖典を信じることが求められます。

この要求が正当である理由として、宗教の聖典は、神の言葉がまさに表されたものだと考えられています。宗教の信者はまた、その宗教の教義を、理論としても道徳としても心から信頼するように求められます。

読書する東南アジアの子供の僧侶

 

私はさまざまな宗教の肯定的な側面に深い敬意を感じていますが、しかし、いかなる宗教の聖典も、神の言葉が表されたものでないことが、私には明らかに思えます。

世界中にいる無数に多くの宗教信者の中には、神のことを何か人間に似た超越的な存在であると考え、神自身の手によって、聖書やコーランが書かれたと考える人がいます。

この見解は明らかに、神のことを極端に擬人化した考え方にあたります。

 

さらに言えば、個々の聖典に表されている宗教の教義と道徳規範は、それぞれの宗教によって大きく異なっていて、時として互いに矛盾することもあります。

さまざまな聖典の作者が、実際には人間であることが私には明らかに思えます。

もちろんそれぞれの作者の大部分は、超越的で高度な啓示を受け取り、それを誠実に伝えようとしたのでしょうが、人間は誰もが欠点を持ち完璧な存在ではありません。

ですから、それらの作者が目撃したできごとや自分が受け取った神の啓示として報告していることは完全ではありません。

その結果として、さまざまな宗教によって伝えられている信念には、少なくとも一般に流布されている教義には、多くの誤りが含まれています。

 

さらに言えば、人間の意識や知的能力は、長い歴史を経て進歩してきました。そのため、遠い過去に成立した宗教の信念は、もはや現代人の疑問に、特に、人生の意味と存在理由について自ら思索する若い人たちの疑問に答えることができていません。

世界はほんとうに6日間で創造されたのでしょうか。人類はアダムとイブという夫婦から生じたのでしょうか。地獄や天国が死後の行き先なのでしょうか。時の終わりに肉体が復活するのでしょうか。悪魔は本当に存在するのでしょうか。

もちろん、すべての人の信仰は自由であり、それ自体として尊重されるべきものです。しかしそれは、すべての信仰が真実であると見なされるべきだということを意味してはいません。

 

さまざまな宗教によって伝えられている信念には多くの誤りがあり、存在論的な基礎がない場合があると私は考えていますが、一方で、宗教の信仰自体が、その人自身や社会に望ましくない影響を及ぼすとは考えていません。

ただし、固定的な信条という暗闇の中に閉じこもり、より高度な精神的態度を自分に禁じてしまっている人に対しては、気の毒なことだと個人的に感じます。

 

また、強い信仰を持つ人の一部には、他人の感情を思い測る能力が鈍く、過激な考え方を持つ人がいて、原理主義や狂信主義に陥ってしまう危険があります。

残念なことに、いかなる宗教にもこの種の危険があるということを人類の歴史は示しています。しかし、このことは誰もが知っている事柄でしょうから、この話題についてはこれくらいにしましょう。

 

さて、誤った信念が劇的な影響を及ぼしているある事柄があります。それは迷信です。

たとえば、ある品物が幸運や不運をもたらすと信じること、さまざまな種類の魔法使いがいて、誰かに魔法をかけたり解いたりすることができると信じること、ゾウの牙や虎の骨などには特別な効果があると考えること。

あれこれの動物を生け贄にすることで、神の好意を得られると考えること、いわゆる占いを行うことによって未来を知ることができると考えること、悪霊というものがいて、人の体や魂を乗っ取ることがあると考えることなど、ありとあらゆる迷信が世の中に存在していて、それを信じる人に望ましくない影響を与えています。

これらの迷信はひどいことに、信じている本人だけではなくその周囲にも害を及ぼします。たとえば、ある動物種に絶滅をもたらしたり、自然の破壊をもたらしたり、他の人が持っている神についての観念に侮蔑を投げかけることになったりします。

迷信という誤った信念は、人間が分泌するようになった毒の中でも、おそらく最も有害なものだと言うことができるでしょう。

ゾウの親子(タンザニア国立公園)

 

ここで考えるべきなのは、宗教的なものであれ迷信であれ、さまざまな誤った信念に終止符を打つためには、どのようにしたら良いのかということです。

そのための「奇跡の薬」は存在しないようですが、その害を取り除く最も望ましい方法は、健全な思考に頼ることだと私は思います。

 

思考という人の能力が絶対確実なものであり、私たちを必ず真実に到達させてくれると私は主張しようとしているのではありません。

しかし思考は多くの場合、自分の判断や行動の過ちを明らかにするために良く働いてくれます。

思考を最良の形で用いれば、人間の思想や活動のあらゆる分野において、さまざまな信念を鍛え上げて、それを真実に満たされたものにすることができます。

健全な思考、より広く言えば理性というものが、「知」(connaissance)を手に入れ、あらゆる種類の迷信と無知から自分を解放するために必要不可欠に思えます。

本と鍵(理性のイメージ)

 

しかし「知」とは何なのでしょうか。大まかに言えば、それは、観察と研究を通して人間が手に入れる知識(savoirs)とノウハウ(savoir-faire)です。

ですから知は、産業技術、科学、医学、心理学、歴史、地理、文学、哲学など広い分野に関わります。実際のところ、世界には限りなく多くの種類の知があり、それらを学びたい理解したいと望むことは、人間にある偉大な性質です。

 

先ほど述べたように、人間は地球上に出現したときから、世界、自然界、自分自身の神秘について知ろうと常に努力を続けてきました。

そしてこの探究から、さまざまな信念と多種多様な知が生じ、今日ではその数は、まるで天上に輝く星ほど多くなりました。

(第3回に続く)

好奇心(イメージ)

 

著者セルジュ・ツーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

△ △ △

ふたたび本庄です。

次回は、セルジュ・ツーサンのこの文章の最後の部分をお届けします。そこでは、「知」とは何かということがさらに掘り下げられていきます。

 

では、今日はこのあたりで。

また、よろしくお付き合いください。

 

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