イアン・マーフィー

「物質の世界で、何かを創造するために最も重要な力は、愛の力です」。これは使い古された決まり文句だと思われるでしょうか。でも少しだけ、このことについて考えてみてください。私たちは愛を表現するのにこのような言い方をよくしますが、それは愛が、人間が知る引力の中でも、最も強力な力であるということを表しているのではないでしょうか。愛は、それが触れたすべての命を、その力によって支配し、その命に形を与えます。この物質の世界での個々の人生は、主として愛の力によって変化し、しかも、愛の力だけで変えることができます。カルマの影響と一緒に作用することで、愛の力は、ソウル人格が進歩するために必要な人や財産やできごとを、まさに引き寄せることに役立っています。
19世紀の終わりから20世紀の初め頃に活躍した神智学者であるアリス・ベイリー(Alice Bailey)は、『ベツレヘムからカルヴァリへ』(Bethlehem to Calvary)という著作で、仏教が「心の方法」であるのに対して、キリスト教の神秘学は「愛の方法」であると主張しています。私にとって、最も純粋な形の愛とは、自身の内面的な自己を、自身が親密に理解する〈創造主/神〉と結び付け、そして究極的には、宇宙のあらゆる側面と結びつけてくれる働きです。
現代のキリスト教には、達人イエスが、後に続く彼の弟子たちに与えた4つの命令があります。そのすべてには愛という言葉が含まれ、私たちの心に訴えるように作られています。最初の命令、「あなたのすべての力を尽くして神を愛しなさい」は、神の愛があなたの前に現れるために必要です。2番目と3番目の命令、「あなたの隣人と敵を愛しなさい」は、私たちが考える方法について述べています。故意であっても意図せずにであっても、自分に危害を与えようとする人たちに対してさえ、私たちは善意を持ち、正しい行いをするようにできる限り努力しなくてはなりません。最後の4番目の命令は、「お互いに愛し合いなさい」でした。私は、4つの中でもこれが最も重要であると思っています。私たちは、生きとし生けるもののすべてに、愛と思いやりを注ぐことを学ばなくてはなりません。私たちはこのことを、愛と思いやりという、宇宙で最も強い力に同調することによって、日々行うことができます。バラ十字会員の多くは、そのような同調を〈天上の聖所〉との同調と呼び、日常的に行っています。この同調を行うと、自分自身の力を強めることができるだけでなく、同じ考えを持つ世界中の人々によって集積されたエネルギーを強めると同時に、世界中にそのエネルギーを広げることができます。
仏教でも、「慈悲の瞑想」(Meditation for Loving Kindness:愛と慈しみの瞑想)を行う際には、同様の概念を用いています。慈悲の瞑想では、まず、あなたの友人に対して愛と慈しみの気持ちを持つようにします。次に、好きでも嫌いでもない誰かに対して愛と慈しみの気持ちを持つようにして、その次には、あなたが嫌っている誰かに対して愛と慈しみの気持ちを持つようにします。そして最後には、世界中の生きとし生けるものに対して、愛と慈しみの気持ちを持つようにします。心の崇高さを育み、啓示へと至る真の道を、簡単に歩き通せるという人は誰もいないことでしょう。しかし、その道の一歩一歩に得るものがあります。このことに間違いはありません。
バラ十字会員は『リーベル777』という小冊子を持っています。この冊子には、どのようにすれば〈天上の聖所〉に接触することができ、それを通して、宇宙の高次の領域にどのようにして達することができるかが説明されています。瞑想のためのこの方法を、何年も繰り返し用いると、誠実な探究者は誰でも、宇宙意識の意図と同調することができ、それによって、そのとき自身を包んでいる愛から力を引き出して、その力を望む相手に向けることができるようになります。
※すべての人の奥深くには、人生で直面するさまざまな困難に対処するための「英知」が秘められています。当会の教本には瞑想に上達するための多面的な実習が含まれていますが、その目的のひとつは、この英知を活用できるようにすることです。瞑想に上達すると心の平安と自分への自信が自然に築かれ、友人や愛する人と調和の取れた人間関係を築くことができます。
バラ十字会の神秘学通信講座「人生を支配する」を1ヵ月無料体験できます。下記よりお申し込みください。
体験教材を無料で進呈中!
バラ十字会の神秘学通信講座を
1ヵ月間体験できます
無料でお読みいただける3冊の教本には以下の内容が含まれています

第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について