投稿日: 2014/07/25
最終更新日: 2022/11/03

バラ十字会日本本部の本庄です。こんにちは。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

東京板橋は、梅雨が明けて、連日厳しい暑さが続いています。

そちらはいかがでしょうか。くれぐれも熱中症にお気をつけください。

さて、あなたの直系の家系の人数について、お考えなったことがおありでしょうか。すこし家系をさかのぼっただけで、私たちの先祖の人数はどんどんと増えていきます。両親は2人、祖父母は4人、曾祖父母は8人、その一代前は16人というようにです。

この系列をさかのぼると、一体どこに行き着くのでしょうか。無限に広がっていくのでしょうか。

この数十年ほどの間に、分子人類学と呼ばれる分野が大きく進歩し、この疑問に、ある程度満足のいく答えが得られるようになっています。

この進歩の主な理由のひとつは、DNA(デオキシリボ核酸)と呼ばれる物質からできた遺伝子が、技術の進歩により、効率的に細かく分析できるようになったことです。もうひとつの理由は、コンピュータの進歩と普及で、多変量解析という数学的な方法を使って、大量のデータを簡単に処理できるようになったことだそうです。

遺伝子とは私たちの体を作っているタンパク質などの設計図です。そして、私たちの体の細胞の核にある通常の遺伝子について言えば、私たちは父と母から遺伝子を半分ずつ受け取り、それがミックスされて、その半分が子供に伝えられます。

ADN_animation

そういうわけで、核の遺伝子を研究するのでは、祖先をたどる研究のためには通常、複雑すぎるのです。そのため、母からしか伝えられないミトコンドリアDNAという遺伝子、父からしか伝えられないY染色体DNAという遺伝子が、人類のルーツを研究するために主に使われています。

このような遺伝子では、突然変異というたまに起こる変化を別にすれば、親と子で遺伝子の内容が同じになります。

この中でも、特にミトコンドリアDNAの研究が大きく進み、興味深いことが分かっています。

たとえば、現代日本人の2大ルーツである縄文人、弥生人とはいったい何者かなどということも、かなり具体的に分かってきています。しかしこのテーマは、また別の機会に紹介させていただくことして、今回はもう少し全体的な話題を紹介させていただきたいのです。

ちなみにこの話題は、人類そのものの本質に関わることですので、私たちバラ十字会がご提供している通信講座でも、ていねいに解説されています。

話は15万年ほど前にさかのぼります。アフリカの東側あたりで、学名ではホモ・サピエンスと呼ばれる現代人が、ホモ・ハイデルベルゲンシスという祖先から進化して生じました。

現代人の遺伝子にどのぐらいのバリエーションがあるかという分析から、この祖先の集団の人数は、もっとも少なかった時期には、たったの2万人ほどだったと見積もられているそうです。

私たちのこの祖先は数万年をかけてアフリカ中に広がりますが、その一部が、7万年ほど前にアフリカ大陸を出て、エチオピアを通り、アラビア半島を抜けて、南アジアに達したのだそうです。

その後この人たちは、中東と東アジアと東南アジアの3系統に分かれていきました。

中東の人々はヨーロッパ人の祖先になり、東南アジアの人々はさらに、ミクロネシアとオーストラリアに広がり、東アジアの人は、北アジアと南北のアメリカ大陸に広がっていったと考えられています。

ミトコンドリアDNAの解析によって確かめられたホモ・サピエンスの世界拡散(クリックすると拡大します)
ミトコンドリアDNAの解析によって確かめられたホモ・サピエンスの世界拡散(クリックすると拡大します)

以前は、北京原人の歯の特徴と似た特徴が現在の中国人にも見られるなどの証拠から、北京原人が中国人の祖先であり、また、世界各地で発見される原人がそれぞれに進化して、その地の先住民になったと考えられていました。

しかし現在では、そのように考える人は少数になり、アフリカで生じた少数のホモ・サピエンスが、その後世界中に広がって、各地の条件に適応し、周囲の人々と混血を繰り返しながら現代人になったと考えられています。

かつては、肌の色から人類を分類して、たとえば、ネグロイド(黒色人種)とコーカソイド(白色人種)とモンゴロイド(黄色人種)に分ける考え方がありました。そして、どの人種が優秀であるかという、不毛な議論がされたこともあったようです。

今では肌の色は、住んでいる場所の緯度によって、大部分が決まっていることが分かっています。

太陽から降り注ぐ紫外線は、皮膚から吸収される量が多すぎると皮膚ガンなどの問題が起き、少なすぎるとビタミンDが合成できず、骨の発育に問題が生じます。そのため人間には、紫外線を適量だけ吸収する必要があります。

そこで、赤道に近い地域に住む人々は、紫外線をあまり吸収しないようにメラニンという色素が増え肌の色が黒くなり、緯度の高い地方や曇り空の多い地方では、紫外線を多く吸収できるように、この色素の量が減り、肌の色が白くなります。

肌の色は、人の集団が移住すると、数千年という短期間に変わることが知られています。ですから、人類を肌の色で分類する議論は本質的でなく、過去の研究の成果について語る場合以外は、徐々に行なわれなくなっているようです。

話を戻しますが、私たちの祖先は、東アフリカで生じ、獲物の多い場所、より住みやすい環境を求め、そして、きっと未知の土地へのあこがれなどもあり、最初はたった2万人ほどだったのが、世界中に広まっていったのです。

2万人です! たとえば、バラ十字会日本本部は東京都の板橋区にありますが、この区の人口でさえ54万人いるのです。

地球の46億年という歴史の中で、たった15万年をさかのぼると、私たちのルーツは、2万人という誰もがお隣さんと言っていいほどの少数の人たちになるのです。

外国の人を見ると、私たちはすぐに、自分たちとはよそ者だと考えてしまう傾向があります。背格好や肌の色も、言葉や習慣も違うのですから、無理もない点もあります。

しかし、これらの違いは、最近の15万年ほどの間に作られた表面的な差であり、すべての人が、人類学的に見れば、ごく近い親戚同士なのです。

こう考えると、世界の各地で、人と人との殺し合いが続いているということは、人道上許せないことであるのはもちろんですが、さらに、とても視野の狭い、不思議なことに思えてきます。

いかがでしょうか。少しでもあなたのご参考になる部分がありましたら、心から嬉しく思います。

それでは、また。

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