投稿日: 2015/04/24
最終更新日: 2025/01/24

バグパイプとは?その構造

バグパイプ(bagpipe)はバッグパイプとも呼ばれる歴史ある楽器です。空気袋(bag)とパイプ(pipe)にリードをつけた笛から作られているのでそう呼ばれています。

演奏者は袋を腕で締めて笛に空気を送ることによって音を出します。袋には通常、ヤギや羊などの皮か、牛の胃袋や膀胱が用いられ、袋内の水分が吸収されるようになっています。

袋に空気を入れる方法には、取り付けた管から息を吹き込む方式と、取り付けたふいごを腕で動かす方式があります。

袋には笛が4本程度取り付けられていて、そのうちの1本にはリコーダーのように孔(あな)が開けられており旋律を奏でることができチャンター(chanter)と呼ばれています。他の笛には孔がなく、一定の音程の低音が連続して奏でられドローン(drone)と呼ばれています。

スコットランドのグレート・ハイランド・バグパイプは張りのある音を出すために、チャンターにダブルリードが採用されています。

バグパイプの歴史

バグパイプの歴史は極めて古く、その起源についてはまだよくわかっていないようです。

『オックスフォード音楽史』という文献によれば、バグパイプの形が刻まれた紀元前1000年ごろのヒッタイトの石版があるとのことです。また、西暦1世紀の古代ローマではすでにバグパイプが用いられていたという記録があります。その後、インド、北アフリカ、ヨーロッパのさまざまな地域で使われてきました。

19世紀から20世紀にかけて、スコットランドの軍隊がイギリスの植民地拡大に役割を果たしたため、スコットランドのバグパイプが世界中で有名になりました。

(イギリスの植民地拡大という話題に関連していますので、ご興味をお持ちの方は、下記記事もお読みください。)

スコットランド・ストーンヘブンにあるダノター城の前で正装しバグパイプを演奏する人
スコットランド・ストーンヘブンにあるダノター城の前で正装してバグパイプを演奏する人

戦争で軍隊がバグパイプを演奏する理由

バグパイプからは大きな張りのある音が出るため、戦場で味方を鼓舞し敵を威嚇する目的で用いられました。また、スコットランドやイングランドの兵士は異国での戦闘において、故郷の伝統的な音色に強く励まされたとのことです。

第二次世界大戦のように兵器が近代化した戦争でもバグパイプが用いられていたことは、驚きではないでしょうか。1941年に英国陸軍のジャック・チャーチルという軍人が、ノルウェーに駐屯していたドイツ軍を奇襲する際にバグパイプを吹き鳴らしてから手榴弾を投げ突撃したという記録が残されています。この奇襲は成功し、ジャック・チャーチルは勲章を受けています。

▽ ▽ ▽

山形にお住まいの当会の理事の方から、バグパイプについての文章を寄稿いただいていますので、ご紹介します。

区切り

記事:『バグパイプ奏者という名の兵士』

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下勝悦
バラ十字会日本本部
AMORC
理事 山下勝悦

私が高校に入学して間もない頃のことです。中学時代の友人と映画を観に行くことになりました。タイトルは『史上最大の作戦』。これはアメリカ映画で当時大きな話題となりました。

ストーリーは第二次世界大戦を終焉に導いたと言われる連合軍によるノルマンジー上陸作戦を描いた超大作です。しかし、映画評論家の間では『ハリウッドスター総出演の顔見せ興行』といつた酷評も。ところが、どうしてどうして、中々の見ごたえのある作品でした。ときおり息抜き(?)にユーモアを交えながらも大迫力の戦闘場面の連続でした。

ところが中盤を越えた頃だったでしょうか、どうにも理解し難い場面に出くわしました。ドイツ軍の執拗な爆撃の中を一人の兵士がバグパイプ(イギリス・スコットランドの民族楽器)を抱え、背筋をピンと伸ばして演奏しながら悠然と行進して来るのです。次の瞬間、近くにいた兵士が「何をやっているんだ、やられるぞ!!」と無理やり安全な場所に引きずり込むのですが…。

バグパイプの演奏家
バグパイプの演奏家

この時、私にはこの場面がどうしても理解できませんでした。戦場に楽器を持ち込み、爆撃の最中の行進、まさに自殺行為です。この時の疑問はそれから何年も続きました。しかし、それもいつの間にか記憶の倉庫の隅に押しやられていました。

ところがつい最近、この疑問を思い出すと同時に解消するできごとが突然に訪れたのです、しかも大きな衝撃を伴って…。ある日のことです、のんびりと音楽雑誌をめくっていたそのとき、民族楽器としてのバグパイプの解説記事を見つけました。

突然にあの時のことを思い出しました。次の瞬間、何かに取り付かれたかのように必死になって読み始めました。するとその記事に曰(いわ)く、「バグパイプは戦争の時に軍楽隊員によって兵士の士気向上を目的として演奏されました」。

さらに続けて、「当然のことですが、バグパイプ奏者は戦闘の最前線で演奏することになります。敵とは直ぐ間近に向かい合うことになります。ということは、敵方に言わせればバグパイプ奏者を倒せば相手の兵士の戦闘意欲を減少させることができる訳です。そのためバグパイプ奏者は真っ先に狙撃の対象となり、その戦死率は一般の兵士の比ではありませんでした」と。

もの凄いショックでした。というのは、私の中学時代の担任の先生は音楽教師でした。音楽を心から愛し、「音楽は平和の象徴、音楽あるところに平和あり。また、そうでなければならない」と私らにいつも語っておられました。先生は大分前に病で亡くなられましたが、今でもこの言葉を忘れることはありません。

グレート・ハイランド・バグパイプ
グレート・ハイランド・バグパイプ
区切り

以上、山下さんからお寄せいただいた文章でした。

戦争が話題になりましたので、この機会に、「平和への貢献」というバラ十字会の文章をご紹介させていただきたいと思います。

平和への貢献(Contribution to Peace)

  • 他の人と接するときに、最良の自分を表現しようと努力しているならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 善の役に立つために、自身の知性と能力を使っているならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 苦しんでいるすべての人に同情の心を感じるならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 人種、文化、宗教にかかわらず、すべての人を自分の兄弟姉妹と見なすならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 他の人々の幸せを喜び、他の人々の幸せ、健康、繁栄を祈るならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 自分と異なる意見や、反対の意見にさえも、忍耐とともに耳を傾けるならば、私は世界平和に貢献しています。
  • あらゆる争いを解決するために、力ではなく対話を用いるならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 自然を尊重し、将来の世代のためにそれを保護するならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 神についての自身の考えを、他の人に押しつけようとしないならば、私は世界平和に貢献しています。
  • 世界平和を、自身の理想と哲学の基礎にするならば、私は世界平和に貢献しています。
ハート型の地球儀とさまざまな肌の色をした人形(世界平和のイメージ)

最後までお読みくださり、ありがとうございました。あなたの心の琴線に触れる部分が少しでもありましたら、とても嬉しく思います。

それでは、また。

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第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について

執筆者プロフィール

山下 勝悦

1947年11月22日生まれ。山形県村山市在住。バラ十字会日本本部AMORC理事。 おやじバンドでの演奏と地元のお祭りをこよなく愛し、日常生活の視点から、肩ひじの張らない神秘学(mysticism:神秘哲学)の紹介を行っている。

本庄 敦

1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。 スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学の普及に尽力している。 詳しいプロフィールはこちら↓
https://www.amorc.jp/profile/

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