投稿日: 2015/11/13
最終更新日: 2023/09/20

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

東京板橋は、ずいぶんと寒くなってきました。そろそろストーブが必要なほどです。

そちらはいかがでしょうか。

一昨日、バラ十字会では何が学べるのですかと、ある方からご質問をいただきました。

私たちからご提供させていただいている教本には、人生に働いている法則、健康に関連するテクニックや、サイキック能力の開発など、さまざまなテーマが含まれていますが、何といってもその核心は、ヨーロッパで伝えられてきた神秘学です。神秘学は、英語の「ミスティシズム」(mysticism)の訳語で、神秘哲学とか神秘主義と訳されることもあります。

ところが、この神秘学という言葉は、どうも誤解されることが多いようです。非科学的な何らかの超常体験を求めているのではないかと考える方々がいらっしゃいますし、多少事情に通じている人の中にも、神秘学とは、現実を逃避して、神秘体験という恍惚状態を追い求めることだと考える方もいます。

しかし、実際には、このどちらでもありません。神秘体験を求めるという部分はおおむね正しいのですが、その目的は現実から逃避することではありませんし、神秘体験の多くは実際に気持ちが良いのですが、それが目的ではありません。

結論から申し上げれば、神秘体験の目的は、より良く生きることです。このことをこれから、ご説明させていただきたいのです。

心理学の大部分の学派で、もう常識となっていますが、すべての人の心の中には、日常は気づいていない潜在意識と呼ばれる領域があります。そしてこの潜在意識は、個人に属する部分と、すべての人に共通な部分の2つに分けることができます。バラ十字会では、個人に属する潜在意識のことを下意識、すべての人に共通な部分のことを宇宙意識と呼んでいます。

この場合の「宇宙」とは、恒星や惑星とそれらを含んでいる宇宙空間のことだけを指しているのではなく、古代ギリシャ人が「コスモス」(Cosmos)という語で意味していたものであり、心や魂や、精神の世界も含めた「すべてのもの」のことです。

この「すべてのもの」の持つ意識である宇宙意識は、日常の意識とは異なる高度なレベルの意識だということができます。しかし一方で、人の日常の意識と宇宙意識は、まったく別のものではありません。感じ方の問題ですが、私たちの心の奥底には宇宙意識が潜んでいるということもできます。そして、宇宙意識からの情報を、下意識を通じて日常の意識が受け取ると、それは神秘体験と呼ばれている経験になります。

神秘体験には、さまざまなレベルのものがあります。初歩的なレベルのものは、ほとんど誰もが経験していて、「直感」とか「虫の知らせ」と呼ばれています。

たとえば、家の中で、ある品物が何日も見つからなくなってしまっているとします。ある日、その品物がどこにあるかが心の中に思い浮かびます。そしてそこを探してみると、実際に見つかります。後日、その品物をそこに置いたのが自分ではなかったことを家族から聞いて、ああ不思議なことがあるものだなあと感じるのです。

もう少し進んだ神秘体験では、職業で直面している複雑な課題の解決法や、長年解けずにいた疑問の理解が突然得られたり、書こうとしていた文章や、芸術家の方ならば、創ろうとしていた作品の細部を含めた全体が、まるで「天から降ってきた」かのように得られたりすることがあります。

また、多くても一生に一回ほどしか経験しない、高度なレベルの神秘体験もあります。そのような体験では、人生、生命、愛、時間、空間についての考えが根本から変わります。

もうずいぶん昔のことになりますが、ドイツの神秘家ヤコブ・ベーメ(Jakob Boehme)の書いた本を読んだとき、この人はなぜこれほど興奮しているのだろうかと不思議に思ったことがあります。高度なレベルの神秘体験は、言葉で表わすのが難しい面があり、何とか他の人に伝えようと奮闘するとそのようになります。

ヤコブ・ベーメ
ヤコブ・ベーメ

さて、ビッグ・クエスチョンと呼ばれる問いがあります。「人は何のために生きているのか」、「人生に意味はあるのか」、「人間とはいったい何なのか、どこから来て、どこへ行くのか」というような問いです。

感受性豊かな思春期に、特に理由がなくても、このような思いにとらわれた方も多いことと思います。また、親しかった方とのお別れをきっかけにして、あるいは災害や苦境や他の理由から、人生のはかなさを強く感じて、このような疑問に思いを馳せるようになることもあることでしょう。

しかし、現代の教育にも原因があるような気がしますが、多くの場合、このような問いは、そもそも答えが得られないものと考えられて、残念なことに心の底にしまい込まれてしまうことが多いようです。

スフィンクスとピラミッド

私たち人間は、常識的に考えれば、広大な宇宙の中の取るに足りないケシ粒のような存在であり、ごく限られた年月しか生きられず、生まれたときも死ぬときも一人ぼっちです。そして、この世界のあらゆるものは変化していて、作られたすべてのものは壊れ失われていきます。この線に沿って考えを進めていくと、先ほどのビッグ・クエスチョンには、答えが得られないことが当然のような気がしてきます。

しかし、宇宙意識という別の視点があり、それは神秘体験を通して身につけることができます。

以前のブログ(心の構造について)でもご説明させていただきましたが、人の魂は、ひとつひとつが完全に独立しているわけではなく、全てが絆(きずな)を保って宇宙の魂の一部になっています。そしてこの魂の持つ意識が、宇宙意識にあたります。

魂はエネルギーであり、物理学でよく知られているように、エネルギーは形を変えることはあっても失われることはありません。ですから、宇宙意識という視点から見ると、すべての人は孤独ではなく、しかも永遠の存在です。また、宇宙意識には、自己と対象を区別しない性質があります。ですから、宇宙意識にとって、宇宙全体と自分の心は同じ広さですし、自分と他人は、同じように大切な存在です。

これらのことは、理屈ではなかなか納得できない事柄です。しかし、宇宙意識から十分な量の情報を得ると、つまり、たとえ小さな神秘体験であっても、それらが積み重なると、そうであっても不思議ではないことが、徐々に感じられるようになっていきます。

20世紀を代表する科学者のひとりに、アルバート・アインシュタイン(1879-1955)がいます。もしかしたら、現代物理学の研究を行なうことには、他の分野以上に鋭い直感が必要とされるため、神秘学の実習を行なうような効果があるのかもしれません。いずれにせよ、アインシュタインの残した次の言葉を読むと、ある種の神秘体験を彼は得ていたのではないかと感じられます。

「人は『宇宙』と呼ばれる全体の一部、時間と空間が限られた一部である。人は、自分自身と自分の思考と感情を、他のすべてから隔てられた何かとして経験する。しかしそれは、人の意識が持つ見方による幻想である。この幻想は、私たちにとってある種の牢獄であり、私たちは、個人的な欲望と周囲にいる一部の人たちへの愛情という範囲に限定されてしまう。私たちの仕事は、自分自身をこの牢獄から解放することでなければならず、慈(いつく)しみの心の範囲を広げて、すべての生きものと美しい自然界を含めることでなければならない。」

アルバート・アインシュタイン
アルバート・アインシュタイン

以上のように、直感は重要です。そこで、バラ十字会のカリキュラムのごく初期の教本には、直感を目覚めさせるために有効な実習が組み込まれています。またその後は、集中とリラックスを両立させるための実習や、さまざまな瞑想の方法が説明されていきます。

これらの実習や瞑想は、神秘体験を得るために役立ちます。ひとりで自宅で練習をすることもできますし、ご希望であれば、全国のいくつかの都市で開かれている集会に参加して、他の方と一緒に練習することもできます。

しかし、神秘体験を得る能力、つまり直感力や宇宙と同調する能力は、少しずつしか進歩しません。それは、残念なことに思えますが、むしろ望ましいことです。心に安全装置が備わっているからです。たとえを使って言えば、暗闇から明るすぎる光の中に、もし突然出てしまうと、私たちは何も見えなくなってしまうからです。

過去の神秘家が高度なレベルの神秘体験をして、そこから得た人生についてのさまざまな見方も、当会の教本で折々に紹介されています。しかし、他の人の得た答えは、しょせん借り物でしかなく、それだけでは十分な満足が得られないことが多いのです。

しかし、自分で積み重ねた実習の体験と、過去の神秘家の得た情報についての知識が一緒になると、ある程度の時間はかかりますが、宇宙意識という視点からものごとが見られるようになり、この不思議で素晴らしい人生について、心の底から納得することができるようになります。

一方、宇宙意識という視点を得たとしても、周囲の社会や人生に問題が山積みであることは変わりません。また、自分が不完全な人間であることにも変わりはありません。しかし、私たちは自身で、自分の人生に納得のいく新しい目標を設定することができ、より良く生きることができるようになります。

バラ十字会では何が学べるのかということが最初のご質問でした。そして以上が、私なりのこの質問に対するつたない答えです。

もし、このような学習にご興味があれば、キャンペーン中ですので、神秘学通信講座「人生を支配する」の一ヵ月の無料体験プログラムを以下のページからお申し込みください。

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以上、多少回りくどい話だったかもしれませんが、少しでもあなたのご参考になれば嬉しく思います。次回は、まったく別の話題をご用意させていただきます。それでは、また。

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