ビル・アンダーソン
私はまもなくニュージーランドに向けて出発します。そうです、あの「ロード・オブ・ザ・リング」が撮影された場所を見に行くのです! ニュージーランドでの仕事に関する下調べの資料を読んでいると、マオリ族が「ホンギ」(Hongi)と呼ぶ事柄について書かれているある文章が目に留まりました。あなたも、この身ぶりの神秘的な意味に興味を引かれることと思います。
マオリ語は、東ポリネシア諸語と呼ばれる言語群に属し、クック島のマオリ語、ツアモツ語、タヒチ語と近い系統にあります。また、ハワイ語やマルキーズ語とは、比較的近い関係にありますが、サモア語、トケラウ語、ニウエ語、トンガ語などを含む西ポリネシアの言語とは若干隔たりがあります。つまり、これらの言語には、共通する言葉があるということを意味しています。東ポリネシアに源を持つと思われるマオリ語とハワイ語には、特に似た言葉が見られます。
現在はテレビなどで紹介されているので、現代まで伝えられているマオリ文化の習慣のひとつを、多くの人がご存じのことでしょう。「ハカ」(Haka)と呼ばれる出陣の歌と踊りです。ラグビーファンなら誰でも、オール・ブラックス(All Blacks:ニュージーランドのラグビー代表チーム)が、試合が始まる前にこの歌を歌うことを知っています。ハカは挨拶の一種です。
そして、ホンギは別の種類の挨拶です。「ホンギ」という言葉は、マオリ語-英語辞典によれば、「挨拶の一種として鼻を押し付けること」または「匂いをかぐこと」または「鼻を鳴らして息を吸うこと」と説明されています。ニュージーランドの人が、鼻を押し付け合っている写真を、あなたも見たことがあるのではないでしょうか。しかし、その身ぶりには、単に鼻を押し付けるというだけでなく、もっと多くの意味があります。ハワイでは、この身ぶりを「ホニ」(honi)と呼んでいます。
また、イヌイット族(エスキモー族)の、「クニク」(Kunik)と呼ばれる伝統的な挨拶を、あなたもご存知かもしれません。これは愛情表現のひとつで、普通は家族や親しい間柄で行われますが、通常は頬もしくは額に鼻と上唇を押しあてて息を吸い込みます。この挨拶には性的な要素はありません。彼らが寒い戸外で出会うときには、鼻と目以外はほとんど表に出ていないので、これがお互いの親しみを表す挨拶のやり方なのです。
しかし、現代のマオリ族の伝統的な集まりや重要な儀式で行われるホンギの挨拶は、現代の西洋文化における正式な握手と同じような目的を持っています。実際、ホンギは握手と一緒に行われることが多いのです。
生命の息吹
Breath of Life
マオリ族が鼻を押し付け合って挨拶するとき、そこには、生命の息吹を分け合うという意味があり、この伝統は神々から直接伝えられたと考えられています。生命の息吹を表す「ハ」(ha)は、バラ十字会の用語で言えば「根源的生命力」(Vital Life Force)であり、ホンギを行っている間、「ハ」が2人の間で交換されて混ざり合います。このように、体を触れ合わせて挨拶を行った後は、あなたはもはや訪問者ではなく、その土地の一員として迎えられます。そして、そこに滞在している間は、その土地の人々が負う、すべての義務と責任を分担することが義務づけられます。昔であれば、このことは、戦争の時に武器を身に帯びたり、さつまいもなどの作物を世話することを意味していたのでしょう。
マオリ語の「ハー」(haa)は「息」を意味し、「空気」や「風」を意味する「ハウ」(hau)という言葉に関連しています。ハワイ語の「ハ」(ha)は「生命の息吹」を意味し、儀式の一部として行われるときは、その儀式を受ける人に息を吹きかけることによって、神秘的な力が伝えられます。またそれは、誰かの口に息を吹き込むことにより、「マナ」(mana)という自然界に内在する力を授ける方法でもありました。
ですから、ホンギは単なる身ぶり以上のものであり、生命の祝福や、他の人に対する尊敬の念を表しているのです。それは、宇宙のもとでは、すべての人がひとつであることを、私たちに生き生きと思い出させてくれます。
とても優しく風が息づく
あまりにも柔らかく、あまりにも甘く
ため息のようにそよぎ、私のすべてに触れ
私の心を暖める
「柔らかく優しいそよ風」より
リリウオカラニ女王(ハワイ王国の最後の女王)
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