◆ 現代について
・表面的にだけ見れば
表面的には、今の時代は、世界が集団的な狂気にとらえられ、破滅に向かっている時代だというように見え、世界のいずれの国もその例外ではないように思われます。
常識と基本的な価値観が失われ、社会全般と経済に危機が迫り、行きすぎた機械化とロボット化による雇用の喪失が起こり、倫理的な規範から科学が逸脱し、道徳意識が劣化し、極端な思想が人気を集めたり原理主義が台頭したりしています。
また、さまざまな国が戦争の最中であり、地球環境が極めて憂慮すべき状態にあることは言うまでもありません。
このように、未来のことを心配すべき十分な理由があります。

・繁栄と衰退
人類の歴史が始まって以来、あらゆる文明には、多くの分野で発展と隆盛が起こった時期がありましたし、言うまでもなく衰退の時期があり、完全に消滅した文明もあります。
その中でも、古代エジプト、古代ギリシャ、古代ローマ文明の消滅は注目に値します。
大まかにとらえるならば、その原因はどれも同じでした。統治する側と統治される側の両方に聡明さが欠けていたこと、人間の望ましくない面が、たとえば、プライド、利己主義、自己中心主義、不寛容、暴力、貪欲さなどが日に日に目立ってきたことです。
それに加えて現代では、個人主義、物質主義、精神性(spirituality)に対する懐疑という傾向が挙げられることでしょう。
参考記事:「スピリチュアルとは?」
https://www.amorc.jp/spiritual/

・グローバリゼーションの影響によって
今日では、グローバリゼーション(訳注)の影響によって、同一の現代文明が、ほぼすべての大陸、ほぼすべての国に広がっており、衰退や絶滅(おそらく部分的でしょうが)の危険性を共有することになってしまっています。
世界中の人たちがこのことをますます意識するようになり、それが原因で、憂鬱や不安、そして怖れさえもが、世界全体に風潮として広がっています。
残念なことに、一部の人たちはこの風潮を悪用して、人々をさらに怖がらせ、世界の終わりを宣言する人さえいます。
訳注:グローバリゼーション(globalization):国を超えて地球規模で人的交流や商取引が行われるようになること。

・人類が持つ自体を超越する能力
現在の状況が、極めて憂慮すべきものであるということは事実ですが、絶望的であると私は考えてはいません。
見た目とは異なり、多くの分野で日々、素晴らしいことが行われています。
たとえば、ますます多くの人が、貧困状態にある人たちを助けるために結集し、全体主義体制や他の独裁政権を非難し、戦争に反対し平和を支持するデモを行い、人工知能の過度な使用についての懸念を表明し、成長と利益だけに基づいている経済システムに意義を申し立て、自然界と動植物の保護のための投資を行っています。
人類は、すべての人の利益のために、現在の状態を乗り越えて変化することができるということを示す、極めて多くの取り組みがなされています。
・必須の段階
大部分のバラ十字会員と同じように私は、人類が経験しているこの時期のことを、明るい未来を迎えるために必要な一段階だと考えています。
人類は、ティーンエージャーのように自分探しのまっ最中なのであり、あらゆる行き過ぎを自(みずか)ら試している時期なのかもしれません。
参考記事:「バラ十字友愛組織からあなたへの訴え」(30ページの下の段落をご参照ください)
人間の行動において何が根本的に悪であり、何が根本的に善であるかをはっきりと理解して、その理解に従って行動できるようになるために、この段階が必要なのだと思われます。
そのようなプロセスによって人類は、謙虚さ、誠実さ、度量の広さ、寛大さ、利他心、非暴力などの美徳を行動に表すこと、すなわち倫理こそが、自体を守る安全装置だと理解することでしょう。
また一方では、私たちのすべてには、自身の美徳を目覚めさせる能力があります。ですから、人類の将来に自信を持つことにしましょう。
セルジュ・トゥーサン、バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表


著者セルジュ・トゥーサンについて
1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。
多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。
体験教材を無料で進呈中!
バラ十字会の神秘学通信講座を
1ヵ月間体験できます
無料でお読みいただける3冊の教本には以下の内容が含まれています

第1号:内面の進歩を加速する神秘学とは、人生の神秘を実感する5つの実習
第2号:人間にある2つの性質とバラ十字の象徴、あなたに伝えられる知識はどのように蓄積されたか
第3号:学習の4つの課程とその詳細な内容、古代の神秘学派、当会の研究陣について