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ゲーテについて

2015年12月18日


 

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

バラ十字会日本本部代表、本庄のポートレイト

 

今日の東京板橋は素晴らしい天気で、濃い青の空が広がっています。

そちらはいかがでしょうか。

 

今、私が手にしているのは、つい先日の11月30日にお亡くなりになった漫画家の水木しげるさんの新書本「ゲゲゲのゲーテ」です。

この本の最初に書かれているのですが、第二次世界大戦が始まったとき、18歳の青年だった水木さんは、いつ召集されるかという恐れと人生への疑問から、むさぼるように本を読んだとのことです。そしてその中でも、岩波文庫の「ゲーテとの対話」に心を打たれ、出征のときにも戦地でも、この本を肌身離さず持っていたとのことです。

また、復員した後は、気に入ったゲーテの言葉を書いた紙を仕事部屋の壁に張って、まだ有名になる前の、生活の苦しい時期の励みにしていたそうです。

「ゲゲゲのゲーテ」には、水木しげるさんが「ゲーテとの対話」に傍線を引いた部分から選んだ93の言葉と、水木しげるさん自身の言葉が集められています。

 

我田引水ですが、フェイスブック・ページ「あなたの人生を変える方法-人生の意味を見出す5つの鍵」(www.facebook.com/amorc.jpn)では、もう3年以上にわたり、新たに日本語に翻訳した格言、厳選した格言をご紹介し続けています。その中には、多くの皆さんから「いいね!」をしていただいたゲーテの格言も、いくつも含まれています。以下に4つほどご紹介させていただきます。

▽ ▽ ▽

「気分がどうのこうのと言って、なんになりますか。ぐずぐずしている人間に気分なんかわきゃしません……。きょうできないようなら、あすもだめです。一日だって、むだに過ごしてはいけません。」

「人間は気高くあれ、情け深く優しくあれ! そのことだけが、われらの知っている一切のものと人間とを区別する。」

「最も古いものを忠実に保持し、快く新しいものをとらえ、心は朗らかに、目的は清く。」

「君は、本気で生きているか」

△ △ △

 

ゲーテは1749年に神聖ローマ帝国のフランクフルトで生まれました。もともとは弁護士だったのですが、その仕事よりも小説を書くことに情熱を燃やします。そして、25歳のときに『若きウェルテルの悩み』を出版します。婚約者のいる女性と、彼女に恋する青年と、その友人の手紙のやりとりで進んでいく小説です。この本の元になっているのは、ゲーテ自身の体験だと言われています。いずれにせよ、この本が大当たりをして、彼は一流の作家として知られるようになります。

Goethe (Stieler 1828)

ゲーテの70歳の時の肖像。(1828年) Joseph Karl Stieler [Public domain], via Wikimedia Commons

 

ゲーテという人のことをいろいろ調べていると、彼ほど何にでも通じている人は、この世に、他に誰ひとりとしていないのではないかとさえ思えてきました。ほんとうに天才の中の天才です。「ゲーテはすべてのことを言った」というジョークがあります。

たとえば、虹などに見られるような色がどのようにして生じるのかを研究して、多くの哲学者に絶賛される本を書いたかと思えば、人が胎児のときにしか持っていない前あごの骨を発見したり、植物の形を研究して進化論のさきがけとなる理論を作ったりしています。

 

これらのきっかけは、弁護士だったおじいさんの持っていた膨大な蔵書に子供のころに触れて、夢中になったことだと言われています。本は、まさに人生を変えるきっかけになるのですね。知り合いの子供さんに、本をプレゼントしたりするのは、考えてみれば重大なことですね。

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ゲーテの作家としてのライフワークは、何といっても戯曲『ファウスト』です。ゲーテはこの作品を60年をかけて書き上げ、完成して数ヵ月後に亡くなっています。主人公のファウストのモデルは、16世紀にドイツに住んでいたとされる占星術師で錬金術師のヨハン・ゲオルク・ファウストで、自分の望みをかなえるために悪魔に魂を売り渡し、最後には体をバラバラにされたという伝説があります。実際には、錬金術の実験中に爆死したようです。

 

ゲーテが戯曲『ファウスト』で何を訴えたかったかということは大きな問題で、とても私の手に負えるテーマではありません。ただ、この戯曲のセリフを読むと、ファウスト博士は、ゲーテ自身がモデルになっているのではないかと感じます。悪魔のメフィストファレスは、ファウストの性格について劇中で次のように語っています。

「あのたわけ者(ファウスト)ときたら、この世で飲み食いするだけじゃ飽き足らず、ふつふつと沸き立つものが奴を遠くへ駆り立てるんです。自分がいかれてることに半ば気づいてはいるんですがね、天上には、もっとも清らかな星々をねだり、地上からは、至上の喜びと最高の贅沢をせがむときている。そのくせ、遠くのものだろうが近くのものだろうと、奴の望んで得たものが、その胸の内の波風を鎮めたためしは、いちどもございませんや。」

また、ファウストは自分自身についてこう語っています。

「やれやれ、俺の胸の内には二つの魂が宿っていて、互いに、もう一方を無視したり、反発したりし合うのだ。」

バラ十字会の専門家が、このあたりのことを、記事「ゲーテと戯曲『ファウスト』」に詳しく書いていますので、ご興味をお持ちであれば、こちらをご覧ください(www.amorc.jp/reference/material_020.html)。

 

ゲーテは、バラ十字思想(Rosicrucianism)に深い関心を持っていました。そして「秘密」(Die Geheimnisse, 1784-1785)という題の未完の詩を残しています。

「明るい銀色の雲が、十字とバラとともに上方に浮き、その中央の一点から、神聖な命の3本の光線が発している。この光景に意味をもたらし、その神秘を解き明かすためには、いかなる言葉も必要ではない。」(*1)

 

1786年にゲーテは、ある女性への手紙に次のように書いています。

「『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』を読み終えました。そこには、機会があれば書き改めてお伝えしたい良いおとぎ話があります。この話は、古い革袋の中に入れたままでは、価値が分からないのです。」(*2)

 

『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』とは、17世紀の初めのころにドイツを中心に活動していたバラ十字会(Rosicrucian Order:薔薇十字団)が出した3作目の宣言書です。

ゲーテはこの宣言書の中のおとぎ話が気に入ったのですが、自分が書き直せばさらに良くなって、その真価が多くの人に分かるようになると言っているわけです。

そして実際に書き直して、1795年に「緑の蛇と百合姫の物語」という題で発表しました。

 

ちなみに、この物語についてルドルフ・シュタイナーは、神智学協会という団体の会員に行なった講演で次のように語っています。

「この作品(緑の蛇と百合姫の物語)を正しく解釈できれば、薔薇十字の英知(Rosicrucian wisdom)について多くを知ることができます。」(*3)

 

『ファウスト』の第2部も、『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』から、さまざまなヒントを得て作られたことが知られています。また、ゲーテはバラ十字会の起源にも深い興味を抱いていたらしく、「十字にバラを添えたのは誰か?」という言葉を残しています。

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いかがでしたでしょうか。ゲーテと、そして彼とバラ十字会との関連についての、多少まとまりのない話でしたが、少しでも興味深いと思っていただける点があったなら、とても嬉しく思います。

それでは、また。

 

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*1: Christopher McIntosh, “The Rosicrucians”, Weiser Books, 1997, chapter 11.

*2: 同上

*3:Rudolf Steiner, “Rosicrucian Wisdom – An Introduction”, Rudolf Steiner Press, 2012, lecture 1.

 


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