資料室 スピリチュアリティが支える環境保護への取り組み

スピリチュアリティが支える環境保護への取り組み
Exhortation to a spiritual ecology

バラ十字会世界大会講演より(2011年ブラジル・クリチバ市にて)

クリスチャン・ベルナール、バラ十字会AMORC世界総本部代表
By Christian BERNARD, Imperator of A.M.O.R.C.

世界大会の講演をもとに作ったこの記事を、いくつかの基本原則について述べる良い機会であると私は思っています。その原則とは、人類にとっても地球にとっても困難な時代であるこの現代に欠かすことができないと私が考えているものです。もちろん、これから皆さまと一緒に検討したいと思っている内容は、きわめて古くから議論されてきたものであり、バラ十字会員の方々ならばすでによくご存じであるとは思いますが、より広く、この記事の読者諸氏とも、その議論を分かち合うことが大切であると考えています。

皆さまもご存じの通り、人間は二元的な生き物です。すなわち、肉体という物質的な要素とスピリチュアルな要素を兼ね備えており、後者のことは多くの人が「魂」と呼んでいます。神あるいは創造主が、大地の塵から人間を創造し、その鼻孔から生命の息吹を吹き込んだと述べられることもあります。この主張の詩的な言い回しを科学的な表現で置き換えるとすれば、次のように言うことができるでしょう。――人間は、地球上の化学元素から構成されていて、その細胞のひとつひとつもまた同様に地球上の化学元素からできているが、そこには生命が宿り、活力が与えられている。

人の体のメカニズムは、複雑であると同時に素晴らしいものです。また、体を動かしたり、様々な動作を同調させたり、その他にも、人の多くの能力には目を見張るものがあります。しかし忘れてはならないのは、人体は、この地球上の元素の組み合わせであると同時に、変わることのない厳然たる、ある法則なくしては存在できないということです。

生命を成り立たせている本質的な要素がなければ、生物は存在することはできません。この要素すなわち生命力は、今述べた有機的な構造、すなわち人間と呼ばれている個体の中にあるだけでなく、人間からなる人類という集団全体も支えています。また、生命のこの本質的な要素は、水や鉱物から植物に至るまで、自然界にあるすべてのものにも存在しています。この自明の理を否定することは、生命自体の否定につながります。そして、この生命力が人体を離れると、それは命なき物体になってしまいます。

神と呼んでも、創造主と呼んでも構いませんが、宇宙の高次の知性は、自体の法則を実際に作動させるために、生き物を必要としています。同様に、私たちの体が生命を維持するためには、この高次の存在に由来する生命の本質が必要不可欠です。肉体という外皮が破壊されてしまうと、人間の魂(soul)からは、進歩する手段が奪われてしまうのです。

では、肉体と魂のこの崇高な調和、この完全な協調が、もし損なわれたとしたら、人類はどうなってしまうのでしょう。この調和は、肉体にとって重要なだけでなく、地球にとっても重要です。今から数十年後に私たちは、自らの環境を破壊し尽くし、極めて有益な資源を枯渇させてしまっていることでしょう。先ほど述べたように生命力に支えられている生物という存在が、時間という膨大な記録ファイルに残された、単なる思い出のひとつでしかなくなってしまう危険性があります。私たちが自らの蛮行を止めない限り、生きとし生けるものに活力を与えている、この神聖な生体エネルギーが宿る場所は、少なくとも私たちの傷だらけの星には、もはやどこにも存在しなくなってしまうことでしょう。

物事が創造されたときの、当初の計画にはなかった生活の習慣を、私たち人間が自らの手で助長してきたことに間違いはありません。私たちは、予定された進路をすぐに外れて過ちを積み重ねます。その一方で、悲しいかな、私たちの自覚はあまりに頼りなく、良心が発する声も届かず、そして何よりも、悲惨なまでに過酷な試練や惨事を、十分な学びの機会として得ているにもかかわらず、残念なことに、それらに気づかず、教訓を理解しないことないことがままあるのです。自然のおきてに背くことは、とりもなおさず自然と自身の協調を破壊することになり、日に日に宇宙の知性の意図から、少しずつ遠ざかっていくことを意味します

もし神が自らの姿に似せて人間を創ったのであるならば、自然界の基本的なおきてに背いたり、そのようなおきてを変える権利を、神が人間に与えたはずはありません。人間は、正しい道を踏み外し、太陽の光に背を向け、地球の磁気に抗い、澄み切った水の恩恵を拒み、宇宙のあらゆる善良な波動から遠ざかっています。私たち人間は、見習い魔術師あるいは科学者もどきを演じているのであり、この世界を支配し、その法則を自分たちの都合に合わせて作り上げることができるのだと信じ切っています。しかも、その目的は幸せになることではありません。遠慮なく言ってしまえば、その目的は目先の利益にあり、その動機は欲と思い上がりです。

破壊不能と言われていた防波堤をも倒してしまうような15メートルの大津波の前では、私たちは、取るに足りないちっぽけな存在なのではないでしょうか。世間から秀才と呼ばれ、自分の考えに確信を持ち、学位まで持っているほどの人々が、原子力発電所を建てること、まして地震の起きやすい地域に建てることに関して、それが危険なことであると夢にも思わなかったのですから、何とおそまつなことでしょうか。ただもう溜息が出るばかりです……。私たちは人間の名に値しないばかりか、地球という、私たちに差し出された尊い場所を授かる資格すらないのです。その一方で、善意ある人間は一致団結し、互いに手を取り合い、協調して、この世界に調和をもたらすことに努めなければならないと、何十年も前から言われ続けてきました

こうした事実に加え、私たちの星に関する暗い実態が、今後さらに明らかにされるでしょう。それでもなお私は、手遅れであるとは思っていません。光が闇に打ち勝つ可能性は残されていると思っています。しかしそのためには、抗議の声がわき起こり、それがうねりとなって指導者たちの良心を、もしそのようなものがまだ存在するとすればですが、その良心を揺り動かす必要があります。私たちの誰もが、地球と人類を守るために行動し、このような潮流を生み出す主体となることができます。もちろん、一般にエコと呼ばれている事柄に、大多数の皆さまが配慮し、すでに長きにわたって様々な技術を使い、あらゆる工夫を凝らしてきたことは、私もしっかりと理解しています。しかし、それでも、疑念を抱いておられる方や、二の足を踏んでおられる方もたくさんいらっしゃいます。また、ご自分の生活スタイルやご職業、あるいはお読みになる本によって感化される方もおられます。専門家が、あれこれの薬物や、ある種のワクチンの素晴らしい効果を褒めそやすのを聞けば、やはり心に残ります。しかし、そのような言葉の一部には誠意も良心もないことがあるのです。彼らは、こうしたものがもたらす弊害も十分承知の上で語っているのです。このように、影響されてはならない事例は枚挙にいとまがありませんが、皆さんは鋭い観察眼を備えておられる上に、高い教育を受け、十分な洞察力もお持ちです。しかも、人類と地球の将来について日々熟慮し瞑想を重ねている集団の一員でいらっしゃるわけです。

私からはこう述べるにとどめましょう。ご自分の意見をためらうことなく言葉にするべきです。たとえ周囲の方々が、あなたの考えに理解を示さなくてもです。バラ十字会員にとって環境保護は、スピリチュアリティ(spirituality:心の深奥が示す善良さ)と切っても切り離せない関係にあります。片方が欠けたら、もう一方だけでは、存在することも持ちこたえることもできないからです。だからこそ、冒頭で「人間は二元的な生き物である」と申し上げたわけです。

地球が健全さを保ち、そこを住み処とする生物が健やかに生き続けられるように、私たちは精一杯の努力をしなければなりません。それと同時に、自己の精神を高めようとする心を絶やしてはいけません。醜悪で、腹黒く、慈悲のかけらもない世事のあれこれから、自分自身を引き上げてください。物質的な要素を足がかりとすることで、より高くへ登り、世界に対する見識を広げることができるのです。視線をはるか地平線に据え、胸を張って生きましょう。ひざまずくべき場所は、美と徳に満ちた聖なる場所であり、他ではありません。その聖所は、私たちの魂、そして大宇宙の魂という殿堂の中央にあります。こここそが、「深遠なる平安」を見いだし天上の音楽を聞くことができる場所であり、〈師〉たちの心地よい声が、その音楽とハーモニーを奏でながら溶け合い、その神聖な建物の隅々にまで満ちています。

皆さんの体は、人類社会のために役立てなければなりませんし、精神と善良な心は、あなたの任務と同胞のために用いなければなりません。しかしあなたの魂は、高次の領域で休息していなければなりません。そこでは、いつも庇護と慰めを見いだすことができます。悲しみに暮れ、猜疑心に捕らわれ、失意に沈んでいる時には、神聖なる母性の慰めに心を委ねるのもよいでしょう。一切の恐れから高く飛び去って、宇宙の聖なる意識で心を満たしてください。

いくつかご提案を申し上げましたが、これが「言うは易く行うは難し」であることは承知しております。また、恐れや不安、自身のあれやこれやの欠点が泥沼のように足かせとなって、私たちが、精神の高位の領域へと飛翔するのを阻むことも承知しています。

しかし、決して諦めてはいけません。生きていて、たとえ進むべき道を見失うことがあっても、希望を失うことは、あってはならないのです。様々な生き方があります。進むべき道もひとつではありません。これまで培ってきた経験が、道案内となって足もとを照らしながら私たちを導いてくれます

真実が、真実のままでありますように。たとえ人類が破壊的な愚行に走るとしても。

以上をもちまして、スピリチュアリティを高めて環境保護を実践することをお勧めするささやかな講演を終わります。最後になりましたが、バラ十字会の会員の皆さんに申し上げたいことがあります。ご自身がバラ十字会員であること、そして善意を備えた人間であることに、どうぞ誇りを持ってください。

クリスチャン・ベルナール
バラ十字会世界総本部代表

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラ十字」(No.125)の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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