投稿日: 2017/05/11
最終更新日: 2024/05/01

こんにちは。バラ十字会の本庄です。

親しい友人の勧めで、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンさんの小説「たのしいムーミン一家」を読みました。アニメ化されたムーミンを子供の頃にテレビ番組で見たことがありましたが、原作の小説は初めてでした。

主人公のムーミントロール(アニメではムーミン)と彼の父や母は、トロールと呼ばれる想像上の生き物です。カバに似た愛らしい姿を、漫画やアニメでご存じの方も多いと思います。

作者自身がその姿を小説の挿絵として描いたのがオリジナルですが、北欧の民間伝承に出てくる妖精が発想の元になっているとのことです。

「たのしいムーミン一家」は、フィンランドの美しい四季を思わせる、ムーミンたちが住む谷が舞台になっています。さまざまな個性的なキャラクターが登場し、人間の長所短所を映し出しながら、明るい雰囲気でストーリーが展開していきます。

フィンランドのテーマパーク『ムーミンワールド』に再現されたムーミン一家の家

最初の章は、ムーミン谷に初雪が降る場面から始まります。フィンランドのように厳しい寒さのこの地で、ムーミンたちは100日の間冬眠をします。

ムーミンがいいます。

「いやだなあ、ぼくたち、時間をうんとむだにしちまうんじゃない?」

親友のスナフキンが答えます。

「心配するなよ。きっとぼくたち、すばらしいゆめを見るぜ。そうして、こんど目がさめたときには、もう春になっているんだからね」

(『たのしいムーミン一家』、講談社文庫、2011年)

スナフキンは、孤独と旅を愛し、自由気ままに生きるキャラクターです。時として、世を知り尽くした哲学者のような言葉を発します。

テレビアニメではギターを弾いていました。原作小説ではハーモニカを吹いています。

50歳代半ばの人たちの中には、当時のアニメを見て、スナフキンのようになりたいと思った方々も多いのではないかと思います。私もその一人でした。

これからお読みになる方もいらっしゃると思いますので、詳しいストーリーについてはご紹介しませんが、原題の「Trollkarlens Hatt」は、作中では「飛行おにの帽子」と訳されています。「飛行おに」と呼ばれる魔法使いの妖精の、不思議な力を持つ帽子がムーミン谷で発見され、さまざまな騒動が起こります。

最終章では、スナフキンが、ムーミン谷から旅に出発します。そして、秋の訪れとともに話が終わります。

フィンランドの秋の風景

ストーリーの始まり方と終わり方にも示されているように感じるのですが、この小説のテーマのひとつは、自然界のリズムということのようです。

つまり、ムーミンも私たち人間も、自然界の一部であり、自然の法則(Law)を尊重する生き方をすることによってこそ幸せが得られるという主張が感じられます。

自然の法則というと、何か物理の授業がイメージされてしまうかもしれません。ですから、「自然の摂理」とか「自然のならわし」という言葉の方がふさわしいでしょうか。

具体的には、「自然のならわし」のひとつとして「リズム」を挙げることができます。この場合のリズムとは、自然界のあらゆるものが活動と休息を周期的に繰り返していることを意味します。

たとえば、一日には昼と夜があります。温帯の国々には、一年を周期とする四季の変化があり、私たちの目を楽しませてくれます。春と夏が活動期に当たり、秋と冬が休息期にあたります。

人間は生まれ変わって何度も人生を繰り返すと、もし考えるならば(私個人は、ほぼ確実だと感じていますが)、ここにもリズムがあります。生が活動期にあたり、死が休息期にあたるのでしょう。

また、これは私の単なる想像ですが、何百億年もかけて、宇宙も膨張期と収縮期をリズミカルに繰り返しているのではないでしょうか。

137億年前のビッグバンで始まった膨張の期間が活動期であり、収縮期は休息の期間でしょうか。このリズムは何のためなのでしょうか。想像は膨らむばかりです。

NGC 4414 (NASA-med)

かみのけ座にある渦巻銀河 By The Hubble Heritage Team (AURA/STScI/NASA) NASA Headquarters – Greatest Images of NASA (NASA-HQ-GRIN) [Public domain], via Wikimedia Commons

現代では忘れられがちですが、私たちの体も自然界の一部であり、そのあらゆる働きがリズムに従っています。

生命を支える最も重要な働きである呼吸は、吸気と呼気というリズムの繰り返しになっています。

胃や腸は、食物が届いたときに活動し、通過すると休息期に入ります。

人間の心臓は高性能のポンプですが、収縮して血液を送り出す活動期と、拡張する休息期をリズミカルに繰り返しています。一秒よりも短いこの休息期のおかげで、心臓は一生の間休むことなく働き続けることができているのだそうです。

参考記事:『常識を乗り越えること

先ほどのせりふでムーミンがスナフキンに問いかけていましたが、休息はもちろん無駄な時間ではなく、自然の法則に従うために必要な時間です。

ところが現代人は、狂ったように速いペースの生活の中で、休息をおろそかにして、自分の体を痛めてしまうことがあります。

親しくお付き合いさせていただている漢方医の方から聞いたことがあります。少なくとも3日に一度は、午後11時より前に就寝するということが、大病をせずに健康に生きていくための重要な目安なのだそうです。

現代では大切さが忘れられかけているリズムもあります。月の満ち欠けの周期です。

この周期は、生殖や出産だけでなく、病気のときの発熱や、自律神経系の働きに影響を及ぼしていることが知られています。

これらのことにご興味をお持ちの方は、次の電子書籍で詳しく知ることができます。

ライフ・マップ-宇宙バイオリズム活用法』(Kindle版)

今回は、自然のリズムについて感じることを書きました、ややまとまりのない話になってしまったかもしれません。

少しでもご参考になる点があったと感じていただけたなら、嬉しく思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

では、また。

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執筆者プロフィール

本庄 敦

本庄 敦

1960年6月17日生まれ。バラ十字会AMORC日本本部代表。東京大学教養学部卒。
スピリチュアリティに関する科学的な情報の発信と神秘学(mysticism:神秘哲学)の普及に尽力している。
詳しいプロフィールはこちら:https://www.amorc.jp/profile/

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