投稿日: 2023/09/08

こんにちは、バラ十字会の本庄です。

数日前にある友人から教えてもらったのですが、日の出の前に金星が驚くほど明るく輝いているそうです。調べたところ9月19日に最も明るくなるそうです。今日の東京板橋は朝から雨ですが、台風が通り過ぎたら、早起きして見てみようかと思っています。

いかがお過ごしでしょうか。

当会のフランス本部の代表が先週、自身のブログに「努力」に関する記事を書いていますので、その翻訳をご紹介します。

区切り

「努力について」

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン
バラ十字会フランス本部代表セルジュ・トゥーサン

◆ 「努力をしてみる」ということが見られなくなった

「努力をしてみるということが見られなくなった」と語られるのを、よく耳にするようになりました。

実際に、小学校から高校までの学校の先生の大部分が、生徒に注意力、集中力、忍耐力が欠けていることを残念に思っています。また企業では、従業員が数日働いた後に、給与が適正であっても仕事に飽きたという理由で退職するのを見て、多くの雇用主が嘆いています。

日々の暮らしの中で他の人たちのために役立とうとする人が、あらゆる年代で少なくなっていることに、私も個人的に気づいています。そのような行ないは、まるでそのために同意しがたい努力が必要であると思われているかのようです。

一般的に言えば、楽をするということが、多くの人の行動を支配する原則になっているようです。

オーバーハングしている岩をクライミングしている女性(努力のイメージ)

◆ 3つの要因の組み合わせ

「努力をしてみる」ということが、まったくなくなってしまったのではないとしても、少なくとも、もはやあまり重要だと見なされなくなったことは、どのように説明されるでしょうか。

一般的に言えば、それは3つの要因によると私は考えています。

第1に、勇気ということが人間の重要な美徳であると、学校でも家庭でも以前は教えられ、勇気という美徳を心に刻み込むことがかつては教育の一部であったのに、今はそうではなくなったということです。

第2の要因は、産業技術が発達したため、多くの仕事で以前は必要とされていた努力が、もはや必要ではなくなったということです。そのため、「楽をする」ということが、社会的に正しいとされる基準に“組み入れ”られたようです。

第3に、自由に用いることのできる余暇の時間を多くの人が持つようになり、適切な言葉が思い浮かばないのですが、言ってしまえば、ある種の「やる気のなさ」がはびこる傾向が生じたということです。

葉を運ぶアリ(努力のイメージ)

◆ 努力の価値

では、私たちは、産業技術の発達や、余暇の時間を手放すべきなのでしょうか。もちろん違います。

しかし私は、「努力をしてみること」や、より広く言えば「努力に価値を認めること」が、人と人との結びつきや社会の進歩の役立つと考える人間のひとりです。

テレビの前でザッピング(訳注)をして何時間も過ごしたり、ネットサーフィンをしたり、スマートフォンでチャットしたりする誘惑が大きいことは事実です。

しかし、真に有益なことは何なのでしょうか。私たちの知性と心の内面は、それらに満足しているのでしょうか。これほど確実に「いいえ」と答えられる質問は他にはないのではないでしょうか。

付け加えるならば、ザッピング、ネットサーフィン、スマートフォンの使用を過度に行うことが、ここ数年世界中で注目されているIQ(知能指数)の低下の原因だと、一部の社会学者は考えています。確かなことは、それらが心理的バランスの崩れの要因のひとつであることです。

訳注:ザッピング(zapping):ビデオを早送りにしたり、次々に番組を切り替えたりして、コマーシャルを飛ばすなどをしてテレビを見ること。

木の苗を植えている親子(努力のイメージ)

◆ スピリチュアルなザッピング

スピリチュアルな探求も、安易さを求めるというこの傾向から逃れられているわけではありません。

最近では、書籍、討論会、セミナー、連続講演、インターネット上の動画が多数存在し、まるで渡り歩くようにそれらに次々に手を着ける、スピリチュアル・ツーリズムあるいはスピリチュアル・ザッピングと一部の人が呼ぶ行為が助長されています。

もちろん、スピリチュアルな探求そのものは望ましいことです。なぜなら、人類が現在直面している問題の多くは、社会が全体的に物質偏重主義に陥り、非物質的なものの存在が否定されたり、心の崇高さが軽視されたりするというできごとが多くの国で起きていることが原因だからです。

しかしそうは言っても、スピリチュアル・ザッピングのようなやり方が、私たちの心の深奥の必要を満たす最良の道ではないと私は考えます。スピリチュアルな探求は、規則的で持続的なやり方で行われるのが望ましいように思われます。

マーカーのキャップを外すのに苦労している子供(努力のイメージ)

◆ バラ十字会での学習

バラ十字会AMORCが主催する公開の説明会に出席していると、バラ十字会の学習はどのようなもので、どのぐらい続くものなのですかと尋ねられることがたびたびあります。

そのようなときには、週に一冊のペースで読む小冊子があり、最初の9つの学習課程(全体では12の課程で構成されている)を学び終えるのに数年がかかりますと説明します。

確かにこの学習には、忍耐、一貫性、粘り強さという現在の社会の傾向に反する3つの美徳が必要とされます。

しかし、スピリチュアルな探求という名に値することを行うためには、これらの美徳が必要不可欠です。なぜなら知識と聡明さは、簡単に手に入れることも短時間で身につけることもできないからです。それは、時間と同盟を組み、努力を欠かせぬ友にして行う内面の旅です。

セルジュ・トゥーサン

著者セルジュ・トゥーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

タブレット端末を用いて勉強している子供(努力のイメージ)
区切り

ふたたび本庄です。

努力を避け安易さを求める傾向が、自分には存在しないかと内省すると、そんなことはないので、今回の文章は、かなり耳が痛いところです。

しかしこのことは、ひとつには気力、活力の問題のようにも思われます。

私たち現代人の多くには、ゆっくりと食事をしたり眠ったり、定期的に体を動かしたりする時間が不足していて、しかも、大量の情報とネットを介した人間関係にさらされていることが原因で、気力と活力が失われているのではないでしょうか。

安易さに流されずに必要な努力を行うためには、何よりも、気力と活力を充実させることが重要であり、そのために役立つ自分に合った方法を、日々の生活で採用する必要があるように思います。

下記は、前回のセルジュ・トゥーサンの記事です。

参考記事:

今日はこのあたりで。 また、お付き合いください。

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