つい数週間前のことです。なぜか本屋さんに行きたい気持ちになりました。こうした時は急ぎの用事でもない限りすぐに行動に移すことにしています。

本屋さんに入ると、いつもは音楽に関したコーナーに真っ直ぐに行くのですがこの日は新刊本のコーナーに。

すると、あれ? 夢枕漠著の陰陽師の新刊本が並んでいます。いつもは新聞広告で発刊を知るのですが、見逃した…? とにかくすぐに購入、すぐに帰宅。

ちなみに、タイトルは『烏天狗ノ巻』となってます。

物語は陰陽師の安倍晴明と彼の友人でもある公家の源博雅(みなもとのひろまさ)が晴明の屋敷で酒を酌み交わす場面からはじまります。ここで源博雅が季節の移り変わりを語るのですが、私はこの場面が大好きです。

一気に物語の世界に入り込むことができます。

安倍晴明像(京都市上京区、晴明神社)
安倍晴明像(京都市上京区、晴明神社)

他の登場人物として正体不明の陰陽師、蘆屋道満(あしやどうまん)が二つの物語で活躍します。

その蘆屋道満の風貌はと云えば、ぼろぼろの黒い水干(すいかん)に身を包み、白髪、白髭、皺の浮いた顔の中に丸い黄色い眼、住んでいる場所は朽ち果てた破れ寺など。

さらに、『名誉も金も要らぬ。と言って、行きずりの他人であっても『酒を馳走になったから』の一言で地獄の鬼とも対峙するといった恐いもの知らず。

それを『迎えが来るまでの暇潰しをやっているだけのこと』と言うのです。

算木で占いを行う陰陽師の画
江戸時代初期の奈良絵本『たまものまへ』より、算木で占いを行う陰陽師の画。京都大学附属図書館所蔵。 Public domain, via Wikimedia Commons

今回の『烏天狗ノ巻』に収録されているのは全部で八編です。いずれも読みごたえ充分です。

私のお勧めは『梅道人(むめどうじん)』です。

自分は、もはやこの世の人間ではないということを自覚できずに異次元の世界に迷いこんでしまった男の物語です。

私ら読者を不思議の世界にいざなってくれます。

さらに、蘆屋道満が九首九尾の狐と丁々発止の駆け引きを展開する『殺生石(せっしょうせき)』では壮絶な展開が楽しめます。

この物語は数回の深呼吸を行って、気持ちを落ち着かせてから読まれることをお勧めします(笑)。

安倍晴明の念の力により湧き出たとされる井戸
安倍晴明の念の力により湧き出たとされる井戸(京都市晴明神社内)

私の高校時代からの友人に源博雅と蘆屋道満を足して三で割って文中に出てくる妖怪を酒で薄めてマーブル状に練り込んだ様な個性的な人物がいました(笑)。

若い頃には二人で大酒を飲みまくっていました。

晴明と博雅みたいな仲でしたね……。

実はこの友人、タバコも大好きで、さすがに酒は仕事を終えてからでしたが、タバコに関しては空気の代わりにタバコの煙りを吸っているのではないか。と思われるほどの超ヘビースモーカー…なのですが……。

一つ困ったことに、彼の必需品でもあるライターやマッチをすぐに紛失してしまうのです(笑)。

といったことで、タバコを吸う度に、まわりに居合わせた方たちに『ライター持ってませんか? 貸して下さ~い。マッチ持ってませんか? 貸して下さ~い』となるのです(笑)。

タバコと酒とライター

この友人から、お互いが独身時代に10日と開けずに電話が入ったものでした。

話の内容は毎回のように『俺だ~。今晩、予定あるか~?』でした。

そこで私が『別に予定はないよ』と応えると『そうか、それじゃ今晩、酒飲もう!!』etc。

これを、タバコを吸いながらしゃべるのですから時々会話が途切れます。

ところがある時、言葉が途切れないのです。さてはタバコをくわえたままで火を着けていないな。

と思った次の瞬間です。『ところで山下。お前、マッチ持ってないか?』

私はつい吊られて『おい何言ってる、俺はタバコ吸わないだろう』。

一瞬の間を置いて、二人一緒にガハハハと大笑いとなりました。

その後も会うたびに二人で馬鹿っ話をやらかしていましたが、令和元年に、長年にわたる肺と肝臓の酷使がたたり、一人で旅立ってしまいました。

今頃、あの世でどうしているんでしょうかね~。

あいつの事です、閻魔大王と鬼たちを相手にタバコ吹かしながら大宴会でもやってるんじゃないでしょうか……(笑)。

お~い。その内に俺もそっちに行く予定してるから。お前さんの隣の席を確保しといてくれ~。頼んだよ~!!

区切り

筆者紹介:

バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下勝悦
バラ十字会日本本部AMORC 理事 山下 勝悦

下記は山下さんの前回の文章です↓

『墨の香りが漂う小説』

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