投稿日: 2024/05/10
最終更新日: 2024/05/19

以下の記事は、バラ十字会日本本部の季刊雑誌『バラのこころ』の記事を、インターネット上に再掲載したものです。

※ バラ十字会は、宗教や政治のいかなる組織からも独立した歴史ある会員制の哲学団体です。

区切り

笑いについて
Laughter, an Element for the Improvement of Human Consciousness

イアコボス・イアナコプロス(ギリシャ語圏管区管理役)
By Iakovos Giannakopoulos(General Administrator, Greek Administration)

私たちは、いくつかの単純な感情を、生活のあたりまえの一部と見なすことが習慣になっており、その振動の力をあまり深く理解しようとしていません。

今日は、笑いが身体、精神、心の深奥にどのように作用するのか、より一般的には、笑いが意識を進歩させようとする意欲に、どのような影響を及ぼすのかを考えてみようと思います。

笑いは、人間の体に幅広い影響を与えます。免疫力を強化し、過度な食欲を抑制し、痛みに耐える力を強化し、血圧を低下させ、ストレスを軽減し、筋肉の働きを高めます。

私たちの体の免疫システムは、B細胞とT細胞というリンパ球の活動に基づいていますが、笑いによってこの活動が強化されます。笑いは、アドレナリン、コルチゾン、エピネフリンなどの血中のストレスホルモンを減少させ、健康を促進するホルモンであるエンドルフィンや神経伝達物質を増加させます。また、笑いによって成長ホルモンが増加しますが、成長ホルモンは免疫系のためにプラスに働きます。エンドルフィンが放出されると、痛みや気分の落ち込みが軽減されます。笑いながらリラックスすると、循環系の機能が向上し、血中に酸素が供給されて、生理学的にも感情的にもより健康的な状態になるということを、レクリエーション療法やユーモア療法の専門家が強調しています。

次に、笑いが精神面にどのような影響を与えるかを見てみましょう。笑いは他の人たちに広がる性質を持つため、私たちは他の人たちがもっと笑えるように手助けすることができますし、それによって周囲の雰囲気を変えることができます。そのようにすることで、私たちの心を、日々の暮らしのしがらみや閉塞感から解放することができます。精神のバランスを保ちながら行動できるようになり、より正しく調和のとれた決断ができるようになります。

またユーモアは、私たちの精神の幅を広げ、創造性や適応力を高めるため、サイキック面での健康(psychic health)にとっても、極めて重要です。自分の感情をコントロールし、他人の感情の状態を理解する能力を決定する高度な感情的知性は、ユーモアと関連していることをさまざまな専門家が指摘しています。ユーモアと笑いは、さまざまな試験において、良い成績と深い関連があることが知られています。

偉大な人々は、死に直面しているときにも心の平安を保ち笑顔を浮かべていました。ソクラテスは、毒を飲む直前でさえ、アテナイの死刑執行人たちに親しみのある態度を示しました。

笑いは、賢明な人、気品ある人、教養ある人の特徴です。ユーモア(Humor)という言葉は、「汁」、「液」といった意味を持つギリシャ語の「ヘモル」(hemor)に由来します(アリストテレスの『魂について』より)。英語の「Humor」という言葉の語源は、ヒポクラテスの四体液説に関連しています。この理論によると、体内には血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁が存在しています。これらの体液のバランスが取れているとき、人は健康で機嫌が良く、ユーモアに富んだ状態です。古代ギリシャでは、笑いはポジティブな力だと考えられていました。ギリシャの伝記作家プルタルコスによると、スパルタの立法者であったリュクルゴスは、スパルタで最初の笑いの女神の像を製作しました。

笑いはどのようなメカニズムによって、脳の働きを高めるのでしょうか。ユーモアは、性行為やチョコレートとまったく同じように、脳の報酬中枢を刺激するとさまざまな科学者が考えています。そうすると、脳の報酬中枢がドーパミンという化学物質を放出します。ドーパミンは、思考機能の大部分を司る脳の前頭葉を刺激します。

さて、簡単ですが笑いについて科学的に考察したところで、振動としての笑いの意味するところを見てみましょう。

笑いは、最強ではないとしても極めて強力な種類の振動です。笑いは、笑っている本人だけでなく、他の人や周囲の空間にも影響を与えます。

もちろん高次の振動に属してはいませんが、笑いという振動の最大の特徴はそのパワーとポジティブな性質にあります。

「涙が出るほど笑う」という表現は、笑いが救済という性質を持っており、心と体の両方が関係する緊張を解きほぐすことができるということを示しています。

私たちは誰もが涙が出るほど笑ったことがありますし、笑いの振動が心の奥底から物質的な肉体までのすべてを揺り動かし、感情にポジティブな影響を与え、折々に生じる心身のストレスの緩和と、そこからの救済をもたらしてくれることを知っています。

ですから笑いは、誰か一人あるいは複数の人の、さらには住んでいる場所の、振動のレベルを変容させるきっかけになります。

私たちは、人生に役立つ極めて重要な道具を持っており、この道具で私たちの進化を助け、人々や場所を変容させることができます。

私たちは皆、ユーモアと機知があれば、どんな状況であっても克服できることを知っています。それがどんなに苦しい状況であってもです。ユーモアによって、重々しい状況や他の状況を変えることができます。ご存じのように、古代ギリシャの昔から、喜劇は、政治、人間模様、倫理、宗教などを風刺していました。

6歳以下の子どもは1日に400回笑うと言われています。しかし残念ながら大人になると、笑う回数は1日に17回と劇的に減るそうです。人生の困難にどう立ち向かうかは、健康にとって重要なことです。不満を言うかわりに、できるだけ別の角度から困難を見るようにして、ユーモアをもって成り行きを理解するように心がけましょう。

ありあまるほどの笑いを交えた健康的なユーモアは、私たちの助っ人となり道具となってくれます。常にユーモアを持つことは素晴らしい挑戦であり、笑いのない一日を過ごすべきではありません。なぜなら、笑いは幸福の前触れだからです。

ここで、実際にあった私の経験についてお話ししたいと思います。25年前に私が住んでいた街に、集会に使われていた古い部屋がありました。部屋の東側には、ありふれた床の上に古い木製の舞台があり、集会の主宰用の演台と椅子が置いてありました。ある日の集会で、瞑想の第二部が始まる前に、主宰が椅子に座って瞑想を始めようとしたとき、突然、大きな音がしたのです。目を開けると、椅子の2本の脚が舞台に突き刺さり、残りの2本の脚が宙に浮いているのが見え、主宰は地面に落ちないように床と空中の間でバランスを取ろうとしてアクロバットのような体勢になっていました。1分もの間、私たちは皆、涙が出るほど大笑いしました。そして、主宰は集会を続け、皆さんの笑いの振動がこの場所に幸せをもたらしていますと言いました。その後、主宰が左に一歩踏み出したところ、彼の足は再び引っかかって動けなくなり、彼は私たちにこう言ったのです。「集会を締めくくらなければなりません。私を助けて、みんなが家に帰れるようにしてください」。

25年が経った今でも、私たちが何かの課題について議論し解決策を見つけようとしているとき、誰かがその笑い話を思い出させてくれると、瞬時にして状況がリラックスした幸せな雰囲気に変わります。

神秘家として私たちは、利用できるすべての道具を使わなければなりません。昨日、ある親しい女性が私に言ったように、「私たちは今この瞬間を捉えて行動しなければなりません(私たちがその瞬間でなければなりません)」。なぜなら、私たちが経験する瞬間の全体が、私たちの人生そのものだからです。

イアコボス・イアナコプロス
筆者:イアコボス・イアナコプロス

※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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