投稿日: 2023/06/09

こんにちは、バラ十字会の本庄です。

東京板橋にも、梅雨がやってきました。湿度が高くあまり快適とは言えませんが、何となく心が落ち着く、読書にうってつけの季節のような気がします。

いかがお過ごしでしょうか。

さて、当会のフランス本部の代表が、「良識」(common sense)をテーマに、10日ほど前に自身のブログに文章を書いていますので、その翻訳をご紹介します。

区切り

記事:「良識について」

バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサン
バラ十字会フランス本部代表セルジュ・トゥーサン

◆ 「世界は狂ってしまった」

 最近、「世界は狂ってしまった」という言葉をよく耳にします。この言葉は新しいものではありませんが、これほどたびたび口にされるようになったことは、おそらく歴史上一度もありませんでした。人類の活動のあらゆる分野が、狂気に陥っていると感じる人も少なくないでしょう。たとえば、政治では大衆に迎合する発言が広く見られるようになりました。経済では、利益を追求する競争が異常なほど激化しています。テクノロジーの分野では、機械化とロボット化が過度に広まっています。科学では、あらゆる種類の遺伝子操作が行われています。宗教では、原理主義の台頭が見られます。芸術では、詐欺行為が増えています。スポーツ界では、ドーピングが一般化しています。

良識のイメージ:天秤に乗ったハートと脳

◆ 「メディアの世界も狂ってしまった」

 メディアの世界も狂ってしまっています。一部のメディアは、様々な戦闘シーンを繰り返し放映することでテロリズムを助長しています。激しい議論を呼び起こすようなテーマに関する討論番組で、人と人が闘犬のように戦わされています。裁判の結果が出る前に、個人が過度の社会的な非難にさらされることが少なくありません。無礼なことや下品であることが美化されています。何も言うことがない人や沈黙を守っていた方が良い立場の人に、発言が半ば強制されていることがあります。あるメディアが、ある日に語ったり書いたりしたことと、別の日の意見がまるで正反対のことがあります。選挙運動を通じて世論を操作しているメディアもあります。数十年前から「メディア・マシーン」(訳注)という現象が指摘されていますが、その傾向は現在も加速しています。

訳注:メディア・マシーン(media machine):権力を監視するのではなく、世論を操るための機械になったメディアのこと。

道案内をする男性

◆ 良識の喪失

 なぜ、このような事態になってしまったのでしょうか。その理由はひとつではありませんが、ある理由が他の理由よりも大きな影響を及ぼしているように私には思われます。それは良識が失われたということです。社会は、ある種の狂気に捉えられてしまっていて、直面している問題や、長い間続いている混沌とした状況を打開するために行うべきこととは正反対のことが行われるようになってしまったと、多くの人が感じています。良識ある策を取る代わりに、ほとんどの場合誤った方向に進んでおり、その結果、袋小路、行き詰まり、逆行、後退などが生じています。

◆ 「ともに生きる」ということ

 良識とは何でしょうか。大まかに言えば、それは個人と社会全体の両方にとって、何が良いのかという感覚です。ですからそれは、「ともに生きる」ために尊重すべき価値観に近いものです。反対に、良識が失われるのは、共通の利益に反して特定の利益を追求していくときです。ですから、今日の社会に良識が欠けているということは、現代という時代が、個人としても集団としても利己主義の影響下にあるからだと思われます。人々の自己中心性が社会の基礎になってしまっており、さらに、社会がそれを助長しているように思われます。

子供の手を取る母親

◆ 一般的な利益を個人的な利益よりも優先すること

 良識を再び取り戻し、社会が良い方向に進むようにするためには、個人の利益よりも一般的な利益が優先される必要があります。しかし私は、ナショナリズム、コミュニタリアニズム(communitarianism)、コーポラティズム(corporatism)、マイノリティズム(minorityism)、個人主義のいずれも、望ましいものだとは考えていません。

 私たちは、煽動的な発言には慎重になり、他の人に対して、今よりもはるかに誠実でいようとするべきです。最後に申し上げますが、おそらく何よりも重要なことは、思考と倫理において、あらゆる良識が重視されるようにすることです。このことは、長い間衰退してきた教育分野における、重要な問題提起になることでしょう。

良識のイメージ:高齢の女性のバス乗車を助ける子供

セルジュ・トゥーサン、バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表

著者セルジュ・トゥーサンについて

1956年8月3日生まれ。ノルマンディー出身。バラ十字会AMORCフランス本部代表。

多数の本と月間2万人の読者がいる人気ブログ(www.blog-rose-croix.fr)の著者であり、環境保護、動物愛護、人間尊重の精神の普及に力を尽している。

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ふたたび本庄です。

「世界は狂ってしまった」というような言葉を読んで、日々のニュースでそれを実感すると、もしかしたら、あまりにも暗い気持ちになってしまうことがあるかもしれません。

しかしこのブログで何度かご紹介しているように、現在の状況は、人類が新しい段階に進む前に経験している過渡期の苦しみだと私は考えています。それを、約6,000年の人類の歴史時代で最大の変化だと考えている人も少なくありません。

参考記事:

このような時代を目撃、体験することができ、ほんの一端かも知れませんが、その変化に関われるということは、とても貴重なことではないでしょうか。

下記は、前回のセルジュ・トゥーサンの記事です。

参考記事:

今日はこのあたりで。 また、お付き合いください。

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