こんにちは。バラ十字会の本庄です。
昨日、東海の梅雨明けが発表されたとのことで、東京も本格的な夏の直前です。
いかがお過ごしでしょうか。
私の友人で作編曲家をしている渡辺さんから、ものごとの両面についての興味深い文章が届いていますので、ご紹介します。
『無いは在る-在るは無い』
最近、知人から古神道の原理を表した「無いは在(あ)る、在るは無い」という言葉を教えてもらいました。
その時は、詳しい内容までは聞けませんでしたが、禅問答のようなこの言葉を、私なりに考察してみました。
■ 古神道
「無いは在る、在るは無い」を
もう少し、言葉を補って書くならば、
無いということは、在るということである
在るということは、無いということである
となり、これは存在・非存在の二元論を言い表しており、また、陰陽道の陰陽思想とも似ているように思われます。
■ 陰陽道
陰陽思想の陰と陽は、どちらが正しくて、どちらが間違いであるかというような意味ではなく、陰と陽という異なる2つの要素の絡み合いによってこの世界は構成されているという考え方です。
これを先ほどの「無い」、「在る」と入れ替えてみると、
「陰は陽である、陽は陰である」となります。
すると、陰と陽は結局のところ、同じものを異なる面から見たものであると解釈することができます。
陰陽思想には「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」という言葉があります。このことを考え合わせるならば、陰と陽は、互いに変化する、同じものの異なる側面だということになります。
そして、冒頭の「無いは在る、在るは無い」という言葉は、存在と非存在が、同じものを異なる面から見たものであり、互いに変化、移行するものだと考えることができます。
■ 仏教
仏教にも同様の考え方があります。
般若心経に書かれている「色不異空、空不異色、色即是空、空即是色」という言葉です。
これを読み下すと、
色は空と異ならず、空も色と異ならず、
色すなわち空なり、空すなわち色なり。
となります。
この言葉も、「色」(形があるもの)と「空」(形のないもの)という、異なる2つのものが同じであることを説いています。
では、西洋の錬金術や神秘学には、このような思想は存在するのでしょうか?
■ 錬金術・神秘学
錬金術・神秘学にも同じような言葉があります。
それは、「As Above, So Below」という言葉です。
これは、日本語に訳すと、「上のように、下も然り」となります。
この言葉には、もう少し長いバージョン「As above, so below; as below, so above.」があり、その日本語訳の一例に、
上にあるすべてのものは、下にあるものに似ており
下にあるすべてのものは、上にあるものに似ている
があります。
この場合の「上」は「マクロコズム」(宇宙)、「下」は「ミクロコズム」(人間)だと解釈されることがあります。また、「実体のないもの」(構想された世界)と「実体のあるもの」(創造された世界)と解釈されることもあります。第2の解釈を採ると、「無いは在る、在るは無い」という言葉とほぼ同じことを表しています。
仮に、「上」と「下」を「無い」と「在る」に置き換えてみると
すべての無いものは、在るものに似ており、
すべての在るものは、無いものに似ている
となります。
古神道、陰陽道、仏教、神秘学に伝わる二元的な考え方を簡単にご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
まったく違うものと思われがちなこれらの思想が、根本のところで、とても似たことを主張しているのは、少し驚きではないでしょうか?
どこを出発点としても、究極的にたどり着く答えというものは、私はある一点に収束するのではないかと思っていますが、収束した先がまた出発点となり、「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」というように、事物の展開の本質は、ウロボロスのような形をしているのかもしれませんね。
参考記事:
ふたたび本庄です。
上の文章で取り上げられている「上にあるすべてのものは、下にあるものに似ており」の部分ですが、これは、伝説のエメラルド・タブレットに含まれているとされる言葉です。
神秘学(神秘哲学:mysticism)の根本になっている考え方のひとつであり、当会の教材でも、初心者課程で詳しく説明されています。
参考動画:
下記は、渡辺さんの前回の記事です。
記事:
では今回は、この辺りで。 またお付き合いください。
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